地方の自治

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「自治」が共和主義の基本であることから、地方自
治こそがその政策の目玉となる。明治以来の中央集権
的官僚国家体制を根本的に転換することこそ、二十一
世紀の日本の最大の課題である。現在の橋本内閣の
行政改革がほとんど失敗である理由は、この地方分権
の哲学が欠落しているために、単なる機構いじりに終始
しているからである。中央集権官僚統制国家体制は、
発展途上国型の体制でありしばしば指摘されているよう
に、明治時代や戦後復興期には効果を発揮したが、
世界のトップクラスの先進国となった現在において、
その制度疲労が露呈されている。もはや一部の偏差
値エリートが日本という成熟国を引っ張っていくような
ことは不可能である。
新しい日本の骨格は以下のとうりである。
  1. 外交・防衛・金融・厚生・教育等一部を除くほとんどの権限を地方自治体に委譲する。
  2. 州制の導入と自治体の再編成。
  3. 個人課税は国税の所得税は廃止し、すべて地方税の住民税とする。法人税は国税とし、消費税も国税を基本とする。
  4. 日本政府は財源の豊かな州に対して課税したり、逆に財源不足の州に対して交付金を配分することができる。補助金は全廃する。
  5. 行政改革は「中央も地方も小さな政府」の実現。
行政改革の本質は「行政の仕事を減らすこと」である。そうでなければいくら役所の数を統合して半分にしたところで何の意味もない。仕事の中身が変わらなければ、人件費も予算も経費も減らない。子供だましの行政改革が現在の橋本行革の本質ではないか。小手先の改革に終わるだろう。行政改革は日本の根本的問題、すなわち中央集権官僚国家体制をいかに地方分権へと転換していくかという哲学がなければ、完全に失敗する。

二十一世紀の行革は小さな中央政府なのである。と同時に小さな地方政府でもある。これを大きな地方政府という人があるが、それでは何のための行革か意味をなさない。地方においても行政の仕事は減らすのである。そのための方策は「民営化」と「規制緩和」が柱となる。原則は自由にして役所の規制は極力なくす。但し「公正」を担保するために、公正取引委員会などの権限は強化する。「公正」とは公平、フェアーであることであり、過剰な弱肉強食の世界を現出させないようにする。

大きな政府か小さな政府かで問題になるのは、社会保障である。しかしこの社会保障においても、真の意味での中道政治を貫くならば、高齢少子社会にあっては小さな政府を指向せざるを得ない。若い世代の負担が過重にならないようにして、かつ膨大な高齢者に対してはある程度の給付の引き下げはやむを得ない措置である。中央も地方も社会保障は、真の弱者救済のために存在するのである。原則は自助努力であり、それでは生きて行くことができない人々のために重点的に救済の手を差し伸べることとする。

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