文化と芸術のコーナー

文化と芸術のコーナー(第7話)

「ラスト・サムライ」


久々にこのコーナーを執筆します。試写会はさる11月21日、京都の二条城にて築城400周年に敬意を表して行われたものと推測されます。当日は、主演のトム・クルーズ、渡辺 謙、真田広之、小雪さんなど本人が舞台挨拶するというので、マスコミはもちろん、噂を聞いて駆けつけた多くの若い女性の方々で二条城の中は大盛況となりました。二条城内の緑の園に特設会場を設け、場内には灯籠のような明かりとともに、鎧装束に槍をもった兵士を道々に配置したので、あたかも江戸時代に逆戻りしたかのような雰囲気がかもしだされていました。

「舞台は明治維新の日本。トク・クルーズ演じるオールグレン大尉は、近代化を目指す政府軍の指南役として日本に招聘され、そこで過去の遺物として葬り去られようとしている最後のサムライたちと出会う。」(*) 彼はサムライ達とともに暮らすうちに日本の「武士道精神」(サムライ・スピリット) の崇高さに打たれる。そして天皇に対して真に忠義を尽くしているのは自分達であると信じている最後のサムライ達と一緒に、近代化によって日本の魂まで失ってしまったかのような維新政府に対して戦いを挑み、桜花の如く美しく散りゆく決意をするのです。
(*)パンフレットより

義、勇、敢為堅忍の精神、仁・惻隠の心、誠、名誉、忠義など、以前にも「私の政治哲学」の中で紹介した「武士道精神」(サムライ・スピリット) がこの映画のテーマです。しかし、それは現在の日本人がほとんど忘れかけているものであり、図らずもトム・クルーズがそれを発見して、ハリウッド映画として世界に教えてくれるところが実におもしろいと思います。また剣戟や官軍との戦闘シーンは確かに迫力がありよく出来ています。

明治以降の日本は急速な西欧化を進めましたが、しかし現在でも「武士道精神」(サムライ・スピリット) の大事な部分は、少なくとも各界のリーダーたる人物はしっかりと理解すべき魂であると思います。男の美学を描いた映画です。12月6日ロードショー。なお写真は京都市長や京都市会議長、副議長などが俳優さんたちに感謝状と京都の工芸品を贈呈したときの様子です。


第7話終わり


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