公明党についてのQ&A



公明党Q&A(その10)  年金問題の誤解を解く 



 Q. 「若い時から年金保険料を積み立てても、将来年金がもらえない可能性が高いし、仮にもらえたとしても、払った保険料分も死ぬまでには戻って来ないのだから、保険料を支払うことはしない。むしろ自分で預金なり投資をして老後の資金を積み立てたほうがましだ」という若い人の声をよく聞きますが。



A.まず現在の年金制度の根本的な仕組みを理解されていないようです。昔の日本では年金制度がなく、子どもが大きくなると働いて親に仕送りをしていました。戦後家父長制の崩壊、都市部への人口移動、核家族化、人口増大や高齢化の進展など様々な要因によって、仕送りだけではもはや親の面倒を見ることができない時代となり、年金制度が作られました。従って年金制度は「社会全体で行う仕送り」、あるいは「親孝行制度」とも言えるでしょう。
  このような背景もあり、現在の年金制度は「賦課方式」といって、皆さんの保険料はほとんどそのまま今の高齢者に支払われているのです。そのうちの少しだけを積み立てているに過ぎません。ですから自分のことだけを考えて年金保険料を支払わない人が増えてくると、現在の高齢者に年金を支払うことができなくなり、社会全体に迷惑がかかることになります。



 Q. えっ、そうすると年金制度というのは、自分の老後のためだけではなく、現在の高齢者のためのものなのですか。



A.そんなことも知らなかったのですか。「国民全体で行う助け合い制度」ですよ。お年寄りのために仕送りをした人だけが、老後になれば自分も仕送りを受けられるというものです。つまり義務を果たした人のみが、年金という権利を獲得できるとも言えます。



 Q. しかし今の若い人の中には、各人が自分のために積み立てをして、その努力に応じて年金額をもらう方が、自己責任がはっきりして良いという考えもありますが。



A.多くの人にとって安心かつ得であれば、そのやり方(積み立て方式)の方が良いでしょう。しかし、年金制度を完全に積み立て方式に移した場合、膨大な資金が金融市場に流れ込み、これを運用することが必要になります。運用が当たれば得になるが、失敗すれば元も子も無くなります。ご存知のように金融市場には不安定性がつきものです。掛け金の多寡や、運用の巧拙、時代状況などによって、貧富の差が大きくなり、ますます殺伐とした、物騒な世の中になる可能性があります。これでは安心の年金制度とは言えません。
 さらに現在の公的年金には、「障害年金制度」や「遺族年金制度」までついていることも知っておいてください。これは現在の年金制度の哲学が、「助け合いという精神」から素直に導かれる結果です。
  個人主義的・自由主義的な「積み立て方式」であれば、「障害年金」や「遺族年金」は当然の帰結とはなりません。もしもそれを付加したければ、より高い保険料を負担しなければならないことは言うまでもありません。




 Q. そうか。年金にはそのようなしっかりした哲学があったとは、全く知りませんでした。次回も引き続き教えてください。


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