政治の焦点

政治の焦点(第19話)

衆議院選挙の意義(その1)


今回の衆議院選挙で最も重要な論点は、日本人ひとり一人のこの閉塞感をどう打ち破って、将来に期待や可能性の持てる、また安心して暮らせる社会を作っていくかということだろう。具体的には経済政策であり、また年金をはじめとする社会保障政策が問われている。さらに北朝鮮問題の解決への道筋も重要な課題である。

世界的な時代のすう勢として、官民あげての構造改革はやむを得ざるものであり、確かに国民には辛い痛みもあった訳ではあるが、ようやくここに来て明るい兆しが見え始めてきた。わが公明党はこの間、国民の痛みを痛感しそれを和らげるために、自民党にはずいぶんと苦言を呈し、激しい交渉を繰り返しながら、庶民大衆の立場に立った政策を実現してきたと自負している。もしも与党に公明党がなかったならば、弱肉強食だけの世の中になっていたに違いない。奨学金制度の拡充、児童手当制度の大幅延長、乳幼児医療費助成制度の拡充、保育所待機児童ゼロ作戦、中小企業あんしん借換制度の実現、ストーカー規制法、DV防止法、児童虐待防止法、女性専門外来の設置など、公明党が中心になって進めてきた社会の安全網(セーフティネット)だ。

間では自民党と民主党の二大政党の対決がもてはやされているが、公明党は過去にも細川政権や新進党などの実験で失敗を体験済みだ。日本では二大政党制は国民の体質にはあわず、むしろ価値観が多様化している。だから無理やり合併して大きな政党を作るよりは、特定の政策目標を達成することで合意し、連立政権を組んでそれを実行する方が合理的であり国民から見ても理解し易い。民主党の中には非武装中立から核武装まで容認する人までおり、選挙後には新進党の二の舞が容易に予想される。

今回の選挙ではマニフェストが話題になっている。特に大事なことは、経済についての数値目標である。公明党は「新たな起業100万社」「新たな雇用500万人の創出」「65歳までの雇用保障」「若者の失業率半減」など具体的な目標を提出している。私は特に勇気をもって立ち上がり新たな事業を起こし、世の中に価値を創造していく人を応援したいと思っている。

もうひとつの柱は年金制度だ。公明党案はすでに詳しく述べているとおりである。民主党の案では、基礎年金はすべて消費税となっているのでさらに6%はアップさせなければならなくなる。これでは国民負担は無茶苦茶となる。とても国民の痛みを共有する責任政党とは言えない。共産党は基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1へ引き上げる財源について、当面道路特定財源を使えといっているが、これはもし税金が高いのなら本来減税すべきもの。また防衛費や公共事業費を減らせともいっているが、防衛費は北朝鮮問題もあるのですぐの削減は困難である。また公共事業費の削減には地方の合意が必要であり、また急に大幅に削減すると景気を悪化させるほか、建設業に従事する人々の失業の増大も懸念されるため、緊急を要しかつ継続性を求められる年金の国庫負担引き上げ財源にはならない。もちろんムダな公共事業は見直さなければならないことは言うまでも無い。

公明党は景気対策として99年から実施している定率減税を廃止することで財源確保すべきとしているが、これほど責任ある賢明な提案をしている政党は他にはない。なぜなら景気が回復すればこれは本来なくなる減税であるからだ。


日本のことを真面目に現実的に考えている多くの識者や良識あるひとびと、そして中国をはじめ諸外国は、日本を救うのは公明党しかないことを見抜いている。民主党の政策はどうも頭でっかちの観念論に近い。国民の生活に根ざした安定感のあるリーダーシップが感じられない。だから生活者の主役、女性の支持率が特に低いのである。


つづく

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