政治の焦点

政治の焦点(第13話)

経済政策を考える(その2)


現在の不況の原因は極めて複雑であり、戦後日本の政治経済構造の問題に止まらず、世界的な状況変化も加わっています。したがって日本共産党のように、マルクス主義という19世紀の理論に、無理やり21世紀の現実をあてはめようとする時代錯誤の硬直した思考方法では、日本の厳しい経済問題を解決することはできません。

そこで日本経済停滞の構造的・世界的な要因を、現実に即して具体的に考えてみると、主には次のようなことが列挙できます。すなわち、


(1) 中国など発展途上国から大量の安い商品が日本へ輸出されており、これが従来の日本の製造業を圧倒していること。

(2) 日本にはモノが余っており世界的にみれば高い生活水準にあること。どうしても買わなければならないモノがたくさんあるわけではないこと。

(3) 少子高齢化社会に入っていること。老後のために貯蓄をしなくてはいけない五十代前半に団塊の世代が集中しており、これが日本全体の貯蓄率を上げ消費を下げていること。

(4) 銀行の自己資本比率や不良債権額が世界的な評価の対象となったため、その対策や処理を促進せざるを得ず、結果として、過剰な債務を抱える多くの企業に対しては融資が抑制されて、借金返済・投資縮小・資産売却、ひいてはリストラや失業の増大をもたらすこと。

(5) バブル経済で浮かれている間に、IT(情報)化をはじめとする世界的な技術革新の波に日本企業の多くが乗り遅れたこと。これは株価低迷の要因ともなっている。

(6) 人々の間に、物価下落による右肩下がりの経済予想(デフレ予想)が定着しつつあること。これが需要低下を招き、さらなる物価下落とつながる悪循環となりつつある。つまり将来に対する不安感から消費ではなく、貯蓄に重点を置いていること。

(7) さらに、近時の環境問題は従来の経済発展とは逆の方向にあること。


等々ですが、厄介なことにこれらの要因が、それぞれ複雑に絡み合っているために問題解決を一層複雑にしているのです。

つづく

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