政治の焦点

政治の焦点(第12話)

経済政策を考える(その1)


経済の低迷が深刻の度を増しています。現在の日本は、中国の台頭、情報化、少子高齢化などかつて経験したことのない難しい局面に入っており、従来のように政府が経済をてこ入れするだけでは、容易に立ち直らない時代を迎えているのです。

世間では銀行の不良債権を不況の元凶と決め付け、その処理を最優先に考えている評論家も多いのですが、これだけでは銀行の貸し渋りが益々ひどくなり、企業倒産や失業者が増えてしまいます。また、大量の国債を発行して公共事業をやるべきだという意見も、財政破綻を招くだけで余り波及効果がありません。

むしろ大事なことは、地方分権の推進、環境に配慮した地域社会の実現、科学技術・教育への投資、医療・介護・子育てなどへの対応によって、新しい需要を生み出していくことです。この新しい需要と技術の出会いを通して、経済の新陳代謝を促していくことが構造改革なのです。政府はこのような潜在的需要を開花させ、新しい消費や投資を生み出す予算編成や政策誘導によって、景気回復を実現することを原則とすべきです。

つづく

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