次期衆議院選の重要テーマについて(6) 〜年金問題について
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民主党は基礎年金の全額消費税方式を主張しているが、これを実施するためには消費税率の大幅な引き上げが必要となる。先ごろ、社会保障国民会議は3.5〜12%の消費税率アップが不可欠との試算を出した。また日本経済新聞社は最低5%の引き上げを提案している。他方、民主党は消費税5%のまま可能であるというが、そのためには直ちに10兆円以上の行政改革が不可欠であり、ほとんど不可能であることは明らかだ。朝日新聞や読売新聞でも様々な検討の結果、やはり現行方式を維持しつつ改善を加えることが良いとの結論となった。
現行方式の問題点は、国民年金の未納率が高いことである。この問題に対して公明党は、保険料の追納期間を二年を超えて設定したり、25年の受給資格期間を10年に短縮する、年収200万円未満の方を対象に現在満額で66,000円の国民年金を83,000円に増額するなどの提案をしている。その他にもパート従業員や派遣社員に対する厚生年金の適用、所得に応じて国民年金保険料の一部を財政支援するなどの案もある。もっとも、基礎年金に全額消費税方式を導入すれば未納・無年金問題は解決するように見えるが、しかし、その場合にはすでに保険料を払い終えた人、途中の人、まったくの未納の人との間で深刻な不公平が生じる。これを解消するにはいくつかの方法があるが、公平さを求めるならば、結局消費税を8.5〜12%引き上げるしか方法はない。
以上から明らかなように、民主党の消費税方式にバラ色の夢があるわけではない。たとえ基礎年金がもらえるようになったとしても、消費税をこれだけ引き上げて果たして生活が楽になるであろうか。さらに、消費税は、将来医療や介護などの財源としても考慮の必要が出てくるだろう。年金制度は一度変えるとそう簡単にはもとには戻せない。与野党を問わず国民全体で、よくよくその長所・短所を検討し結論を出すべき問題である。「民主党に一度政権を任せてみたら」というような安易な判断では、年金制度は取り返しのつかない大混乱に陥る可能性があると思う。
つづく
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