次期衆議院選の重要テーマについて(5) 〜自民・民主と公明はどこが違うのか

次期衆議院選挙は、自民と民主の二大政党の激突と言われている。確かにそういう面もあるが、恐らく今後重要な存在になるのが公明である。なぜならば、自民も民主も政党としての本質はあまり差異がないからだ。ではどういう点が似ているのか。それは、両党とも「はじめに国家ありき」という点だ。対して公明は「人間の幸福から考える」という違いがある。自民・民主は「国のかたちはどうあるべきか」から始まる。対して公明は「人間の幸福を実現するためにはどうすべきか」と考える。

「財政再建」、「地方分権・道州制」、「大きな政府・小さな政府」、「普通の国」「官僚主導から政治主導へ」等々、自民・民主の国会議員がよく語るテーマであり、重要な課題ではある。しかし、多くの国民からすれば、それによって自分の生活が良くなるのかどうかが一番大切であって、たとえ「財政再建」が実現しても、増税などで暮らしが疲弊したのでは全く意味が無い。また「普通の国」になって軍事面での国際貢献がなされても、日本が戦争に巻き込まれてしまったのでは本末転倒である。

これまでの人類の歴史をひも解いてみても、「革命・改革」の多くは戦争・内乱や凄惨な流血の事態に終始してきたのではなかったか。現代日本ではそのような極端なことはないとは思うものの、「人間の幸福」をしっかりと見据えない「改革」は、多くの場合混乱と不幸をもたらすことがしばしばである。自民・民主の発想は「統治構造」からスタートするのに対して、公明は「生命・生存・生活」を最大限に尊重するのである。

今国民が苦しんでいることは、所得が増えない中で原油が高騰し、物価が上りつつあること。運輸業界や漁業関係者が悲鳴をあげていることはご承知のとおりである。また、米国発の景気停滞から、株式市場の低迷、日本企業全体の設備投資などの減退、中小企業の資金繰りの悪化。派遣労働者や母子家庭、介護職員の生活の厳しさは言うまでも無い。

このような理由から今回の「総合経済対策」が立案された。特に、生活防衛の観点から、公明が提案し自民との間で激しい交渉の末勝ち取ったのが「定額減税」である。ある調査によれば、約6割の国民が評価しているという。しかし、これに対してはお決まりの批判がなされている。マスコミなどの「バラマキ」批判である。しかし、国民がこれだけ苦しんでいる時にはそれは官僚主義的理屈に過ぎない。「バラマキ」とは狙いが不明確なまま巨額のお金を支出することである。しかし、今回の定額減税の目的は「生活防衛」であり明確である。中低所得者ほど効果がある。もっとも、その財源が赤字国債ならば問題もあるが、単発で4〜5兆円程度ならば特別会計の埋蔵金などで十分捻出できる。わが党はその意味で財政再建にも十分配慮しているのである。

評論家の森田 実氏は次のような応援メッセージを送ってくれている。

「マスコミは公明党が自民党を押し切って『定額減税』を決めたことを非難しているが、これはマスコミが間違っている。(中略)マスコミは大権力である。マスコミ権力は、このよい方向への変化の芽を摘み取ってはならない。『定額減税』自体は国民にとってよいことである。いちばん大切なことは国民の生活の建て直しである。(中略)公明党は今回はよいことをした。(中略)今回公明党が提案した『定額減税』は、国民生活のこれ以上の低落を防ぐ大変有効な方策である。マスコミは国民生活回復への努力を邪魔してはならない。

つづく



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