原油の高騰が著しい。これが様々な物価に転嫁されて、今後インフレを招くのではないかと危惧されている。政治としてはどう対応すべきであろうか。私は、今回の原油高騰の主たる原因をしっかりと見極めなければならないと考えているが、それは意外に明白である。米国のサブプライムローンに端を発する金融不安から、投機資金が原油市場に流れ込んでいることが大きな要因である。であるならば、米国のサブプライムローン問題を解決するしかない。しかし、これがなかなか難問である。
ご承知のとおり、サブプライムローンは米国の低所得者向け住宅ローンであるが、これらのローン債権を、民間の住宅ローン業者から、住宅抵当公社(ファニーメイ)・住宅貸付抵当公社(フレディマック)という政府の監督下にある会社が買い取る仕組みとなっている。この点が日本とは全く異なる。両社はこれらの住宅ローン債権を証券化し、大量に投資家に売却してきた。両社が発行した証券(債券や住宅ローン担保証券)は、5兆2千億ドル(約556兆円)に膨らみ、そのうち1兆5千億ドル(約160兆円)超を海外の中央銀行や金融機関が保有している。
 
米国の住宅価格が低落を続けているために、住宅ローン債権価格が下がる。従って両社が発行する証券価格も下落する。当然両社の株価も急落する。このような理由から世界中に金融不安が伝播したのである。米国発の金融不安・景気停滞と言える。 |