国会では「公務員制度改革法案」について、自公民が合意した。「ガソリン税の値下げ」や「長寿医療制度の廃止」については、あれ程こだわりを見せていた民主党が、実にあっさりと法案を通す気になったことを不思議に思う。私は、「公務員制度改革法案」は「省益」中心の「官僚主導体制」(「官僚内閣制」と揶揄する人もある)を打破するための重要法案であり、民主党との修正協議によりより良いものに仕上げて頂きたいと期待していた。本稿では、党の立場を離れて私個人の見解を述べる。
民主党案で評価すべき点は、これまで省庁毎に管理していた幹部人事を、今後は官房長官が作成し各大臣が首相らと協議の上任免するというものだ。これにより「省益」優先や、縦割り行政の弊害の排除を狙う。また、現代の階級制度とも言われる「キャリア制度」を廃止し、試験区分を超え能力・実績に応じて処遇・登用するとしたことは、公務員全体の潜在能力を発揮するためにも歓迎したい。
 
しかしながら、他方で民主党は、なぜこれまでの主張である「天下り禁止」を捨てることにしたのか。「天下り禁止」は今や国民の誰もが賛成する提案だ。また、「政治家と公務員の接触は、政務専門官以外は制限する」という政府案は、官僚の勝手な跳梁跋扈を抑えるためには極めて重要であるが、これも民主党は採用しなかった。その理由として民主党は「政治家の情報収集に影響が出かねない」からとしているが、これでは民主党も偉そうなことを言っているけれども、結局官僚依存であることを証明している。さらに民主党の主張で、採用は省庁毎という現行方式を残すことになったが、これでは「国益」のために働く人材を育てられない。内閣で一括採用し各省庁に配置・移動させるシステムの方が優れている。 |