次期衆議院選の重要テーマについて

公明党は、国民の「生命・生存・生活を最大限に尊重する」立場から政治の優先順位を考えていく政党である。その観点から次期衆議院選の重要テーマについて考察する。

まず、来年度からの「道路特定財源の一般財源化」が閣議決定された。この財源をどう有効に使っていくかが、国民生活上の重要課題になる。私は、年金財源、長寿医療制度、障害者自立支援、介護、環境などの財源としても検討すべきであると考える。また、揮発油税などの国税を思い切って地方税として地方に渡してしまうことも、地方分権の観点から必要不可欠であると思う。それによって、無駄な道路を省き、真に必要な道路を建設していくことができるであろう。

次に、我々の生命を維持していく上で大事な問題は、食糧の確保である。現在世界では、中国・インドをはじめとして人口急増・経済発展などから食糧危機が迫っていると指摘されている。しかも地球温暖化問題がこれに拍車をかけている。すなわち、温暖化による干ばつなど異常気象が世界の各地で頻発したこと、また、米国がガソリンの代わりにトウモロコシを原料とする「バイオエタノール」の導入を推進していることである。その結果、日本でも最近小麦・とうもろこしなどが値上げされたところだ。今後大豆もその危険性があると言われている。

ちなみに、日本の食糧自給率はカロリーベースで39%である。小麦は13%、大豆が5%、トウモロコシが0%であるに過ぎない。日本がいかに世界に依存して生きているかがよくわかる。恐ろしい状況である。食糧の自給率を上げることが急務であるが、そう簡単にはいかない。しかし、何とかこれを50%程度には回復することはできるのではないかと考えている。(日本の国土面積からすれば、国内自給で養える人口には限界があり、民主党のように100%自給というのは何も考えていないことを証明している。)
 

それでも半分は海外に依存せざるを得ない。その場合安定した調達先としては中国以外には考えられないことも事実である。中国製餃子事件のために不安を抱いている方も多いが、現実には中国産の輸入食材は膨大にある。したがって今回の事件の原因究明と再発防止策について明確にしていかねばならない。その意味では今回の胡錦濤中国国家主席の訪日により、両政府の取組みを進展させることが合意されたことは大きな意義がある。(なお、国内農業の再生についてはあらためて述べる。)

食糧問題と同様に、資源・エネルギー問題も国民の生存にとっては重大な課題であり、ロシア・中国など世界的な資源・エネルギー獲得競争が始まっていることを留意しておく必要がある。それが近年の原油の高騰につながっている。原油の高騰が様々な物価の上昇となって跳ね返ってくる。

政策としては、まず資源・エネルギーの安定供給先を確保することである。これまで日本は原油のほとんどを中東に依存してきた。その意味でも中東諸国との関係維持・改善に常に努めなければならない。故に、昨年のテロ特措法案審議では、インド洋における各国艦船に対する水・油の補給活動は是非とも必要と判断したのである(民主党は反対)。加えて、他の諸国からの調達も試みなければならない。この問題についても、このたび日中間で、東シナ海におけるガス田の共同開発が合意される見通しになったことは大きな前進である。

次の政策は、風力や太陽光などの自然エネルギー、水素と酸素を反応させて水と電気を作る燃料電池の開発・実用化に重点投資をすることである。また、原子力発電の燃料が増殖する高速増殖炉を推進すべきどうか、それとも核融合炉の研究を進めるべきかについて議論が必要と考えている。

民主党は今や悪しき大衆迎合や、単なる抵抗勢力に陥ったかのように権力闘争に明け暮れている。他方、公明党は、世界的・地球的視野から国民の「生命・生存・生活」を真剣に考え、日中国交回復など何十年も前から井戸を掘り、両国の関係改善のために行動してきたことを申し上げておきたい。

つづく




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