【2013/6/20ブルームバーグ】
竹内財務政務官:消費増税後の財政出動を示唆−景気下押し回避 (1)

【記者:下土井京子、乙馬真由美】
6月20日(ブルームバーグ):財務政務官の竹内譲衆院議員(公明党)は20日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、2014年4月に見込まれる消費税率引き上げに合わせ、税収の上振れ分を財源とした追加的な財政出動を行う可能性を示唆した。消費者心理へのマイナス影響などによる景気の下押しを回避するのが狙い。

竹内氏は「来年4月の消費増税によって、当然、成長の反動減はある。しかるべき対応をしなければならない」との見通しを示した上で、「おそらく今年度は税収が上振れる。それで財源が確保できる」と言明。2段階で消費税率を引き上げる14、15年の2年間は「しっかりやる」と述べ、必要があれば景気対策を実施する方針を明確にした。

政府は少子・高齢化を背景に増大している社会保障関係費の安定的な財源を確保するため、来年4月に消費税率を8%、15年10月に10%に引き上げる方針だ。消費増税に伴う景気対策の追加歳出については今年8月にも策定する中期財政計画にも明記される見通し。税収の増収分を財源とすることで、財政健全化との両立を明確にする。

一方、日本銀行の量的・質的緩和導入後に株高や円安が進行した金融市場はここにきて神経質な相場展開をみせ、長期金利も一時乱高下した。これに対し竹内氏は「期待先行でやや大きく膨らんだ期待の調整局面だ」とし、「今、一喜一憂する必要はない。アベノミクスに対する市場の評価はそれなりに定まり、乱高下も落ち着いてくる」と指摘した。

賃金アップへ政労使協議

竹内氏は安倍政権の「3本の矢」政策の実施により、日銀が表明した2年後の物価安定目標2%の達成は「近いところまで行く」と指摘。「真のデフレ脱却」に向けて「物価上昇を上回る賃金アップを政労使で進めることが重要だ」と述べ、早急に政府と、連合などの労働者、経団連など使用者から成る3者協議を立ち上げる必要性を強調した。

物価上昇が想定されるなか、賃金や家計の所得が増加しなければ、消費の拡大が息切れし、景気が腰折れする可能性も指摘されている。竹内氏は「企業は内部留保をため込むばかり。設備や人への投資は絶えずしなければならない」と表明。政府による財政出動、日銀による金融緩和の次のボールは「民間」にあるとの見解を示した。

政府がこのほど取りまとめた「日本再興戦略」(成長戦略)でも、賃上げなどを政労使で協議する場の新設が明記された。


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