京都西北ロータリークラブでのスピーチ

非常事態の京都市財政をどうするか

去る4月3日、嵐山の嵐亭で開催された「京都西北ロータリークラブ」の例会で、下記のようなスピーチをさせて頂きましたので、その要旨を紹介します。

現在京都市の財政は大変厳しく、昨年10月には「財政非常事態」を宣言致しました。それは平成14年度の予算を編成するには580億円もの巨額の財源不足が見込まれたからで、もしもこれを放置すると3年以内に「財政再建団体」へと転落し、事実上京都市の倒産となります。

財源不足の直接的な理由は、景気の低迷などによる市税収入の大幅な減少や、国の地方交付税・地方譲与税などの削減などが主な原因です。そこで京都市では、緊急対策として、マイナスシーリングなど市政改革の推進、政令指定都市初の職員給与カット、新規施設建設の休止、市庁舎整備基金からの借入、市債の発行などで急場をしのぎました。また「選択と集中」により福祉と教育、環境、産業活性化、都市基盤整備などに力を入れました。

しかし真の財政再建には「市政の構造改革」が必要です。京都市財政の構造的課題 としては、脆弱な財政基盤(固定資産税の問題)、過剰な職員数、少子高齢化社会の到来で福祉関係予算の大幅増加、本来もっと早く完成しておくべきであった道路や地下鉄事業の遅れなどが指摘できます 。

そこで私は次のような改革を実行する必要があると考えています。
  すなわち、


1. まず官僚組織を「起業家精神あふれるシステム」に変革することです。「言われたことだけやる行政」から、「外圧を受けなくとも、自律的に絶え間なく革新し、品質の改善に継続して取り組む公共組織とシステム」をつくることです。
2. その上で、「京都市行政評価システム」を実行し、政策・施策・事務事業の「聖域なき選別」を実施すること。特に公共事業については、事前・事後の行政評価を厳密に行う必要があります。
3. 次に、「職員数の削減」を行うとともに、人事・給与体系を「年功序列方式」から、「能力・実績主義」へと改革することです。
4. また民間活力の大幅な導入を図ることが必要です。たとえば、保育園・幼稚園、学校給食、ごみ収集・クリーンセンター運営、バス事業などです。
5. さらに、行政経営における「コーポレート・ガバナンス」(行政統治)の確立です。すなわち、これまでのような「下からの積み上げ方式」だけではなく、「あるべき目標値の設定」や「トップダウン」のリーダーシップを発揮することが必要で、そのためには「総合戦略部門の設置」や「京都市長の高い識見と決断力」が要求されます。