![]() 未だに拉致被害者全員の帰国が実現できていないことは、痛恨の極みであり、誠に申し訳なく存じます。加えて、本年は、誠に残念な出来事が続きました。2月に有本嘉代子さん、6月に横田滋前家族会代表、7月に地村保さんがお亡くなりになられました。拉致問題の解決のため長年にわたり尽力されてきたことに、改めて心から敬意を表するとともに、謹んで哀悼の意を表します。有本嘉代子さんや、横田滋さんが御存命のうちに、恵子さん、めぐみさんの帰国を実現できなかったことは、慚愧の念に堪えません。 しかしながら、最近の北朝鮮情勢を分析すると、変化の兆しも見えてきました。 北朝鮮は中国に対して20万トンの食糧の追加支援を要請しており、中国もこれを受け入れざるを得ないというのが実情です。8月に開かれた朝鮮労働党中央委員会総会で、金委員長自身も「国家経済の成長目標が甚だしく未達成となった」と経済的苦境を素直に認めています。 コロナ禍についていえば、軍隊でも感染が広がっている模様です。韓国がこのことを報道して、北朝鮮は過剰なまでの反応を示しましたが、これも事態が深刻であることの裏返しであるという見方が一般的です。感染者はいないというのが公式発表ですが、沿海漁業や塩の生産も停止するなど、非合理な制限も課されています。平壌駐在の外交官には雪遊びの自粛まで求めているような状況です。 こうした状況を考えると、北朝鮮も強硬姿勢を改め、交渉のテーブルに着く可能性があります。 北朝鮮にとっては、対米、対韓とも膠着状態が続くことが予想されており、日朝関係は打開のチャンスでもあります。 ![]() |