日中議会交流で中国を訪問

2009年12月14日〜17日の間、衆議院の「第五回日中議会交流委員会(超党派11名)」の一員として、北京・上海を訪問し、中国の呉 邦国・全人代常務委員会委員長(2)らと会見したほか、中国の国会に当たる全人代の代表議員11名と、両国の政治経済情勢・安全保障及び北朝鮮問題・知的財産権・CO2排出量削減問題・東シナ海ガス田開発・文化教育交流などの課題について、率直で有意義な自由討議を行った。

私は、実は中国訪問は初めてであり、過去の中国のことは書物等で知るだけであったが、今回改革開放政策によって、同国の素晴らしい発展ぶりを目の当たりにした。北京五輪もあってか、道路は両側で12車線は優にあった。それだけに自動車の数もすさまじい多さであったが、冬の風が強く、意外に空気はましな感じもした。また、人民大会堂や故宮博物館、オリンピックスタジアム(鳥の巣)など建築物の巨大さに驚くばかりだ。中国の懐の大きさを侮って戦争を仕掛けた旧日本軍は、何と愚かなことをしたのだろうと感慨にふけっていた。

議論の内容については公開しないことになっているのだが、激しい論議が交わされたことは告白しておきたい。表面上の単なる友好ではなく、ましてや、国家主席と3秒間の写真を撮るための馬鹿げた儀式でもない。議論の中で、中国という国は、実は生真面目な性格の国家であると思った。私たちの一見失礼な疑問や要望に対して、時間をおいて(午前に質問すれば午後からには)きちんとペーパーを作成して、理論的に回答してくるのである。

もちろん、私どもも過去の侵略戦争については、謝罪の意を表明したことも申し上げておきたい。その上で、両国間の懸案事項については、言うべきことを言い合った。顔を真っ赤にして反論してくる場面もあったが、トップクラスのリーダーはさすがに人間の大きさを感じさせる余裕があった。そして、議論が終わって懇親の場になると、実に人間らしい情誼を醸し出す。大人の大国である。もはや発展途上国などではない。COP15はうまくいかなかったが、中国の主張をきちんと分析すれば、展望は開けるものと希望を持った。

特筆すべきことは、華 建敏・全人代常務委員会副委員長が、討議終了後の懇親の席上、創価学会の池田大作名誉会長の書物を参考にして、私有財産権を明確にするための法律(物権法)の制定に取り組んでいることを紹介したことである。中国においては、日中国交回復の井戸を掘った池田名誉会長の著作はほとんど翻訳されているらしい。私たちの通訳の一人(女性)も創価大学に留学された極めて優秀な方であった。これからも幅広い日中交流を進め、両国の平和と繁栄のために尽くしていこうと決意した。

上海は御承知のとおり、人口約19百万人の中国第一の都市(北京は約18百万人)であり、今も上海万博(2010年5月開幕)の建設が急ピッチで進んでいる。林立する超高層ビル群は東京以上であるし、工事現場の騒音や、車のクラクションの激しさ、信号を無視する市民など、高度成長期の日本を彷彿とさせる勢いだ。時速431qのリニア鉄道も体感した。さすがにやや振動はある。

中国の2009年度の経済成長率は、リーマンショックにもかかわらず8.9%が確実だ。理由は地方の道路・橋・港湾・鉄道・空港・光ファイバー網の整備などである。これにより地方と都市部との格差是正も狙う。日本を振り返ると、国債発行が怖くて、公共工事を削るばかりだ。しかし、赤字国債と建設国債とは違う。建設国債を利用して地方の社会基盤整備をすべきだと思う。

経済に関して鳩山政権は何の成長戦略もない。私の考えでは、日本はまず「新エネルギーへの開発投資」を重点戦略に据えるべきである。中国はまだ石油依存経済である。今の間に、太陽光発電、風力、燃料電池など新技術の開発で世界をリードしていくべきであると痛感した次第である。

以 上

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