民主党政権9ヵ月の総括(2)

鳩山総理は、小沢幹事長を道連れにすることで、「政治とカネ」の問題について幕引きを図ろうとした。しかし、二人が役職を辞したからといって、国民に対する説明責任までも消えてなくなるわけではない。公明党など野党は、予算委員会の集中審議などでの、参考人招致・証人喚問などを要求していくことになる。

【写真】「新しい政治をつくるのは公明党」と訴える竹内氏=5/2 京都市

 さて、民主党政権の最大の失敗は、劇場型のパフォーマンス政治に終始したことだ。もちろん、その発案者は小泉純一郎氏である。郵政解散で小泉氏に痛い目にあったために、まともな政策では日本の選挙は勝てないと変な反省をした。そして出来上がったのが、あのマニフェストである。しかし、財源が極めてあいまいなマニフェストであったため、政権交代したけれども、ほとんど実現が困難になっている。

 今、多くの国民は、劇場型のパフォーマンス政治は、やはり無理だと思い始めている。財源との関係でいえば、目標設定がほとんど間違っている。期待された事業仕分けも、それほど財源が出てこないことが明らかになった。昨年小沢さんは、20兆円くらいは無駄を省けば簡単にでてくると豪語していたものだ。。

【写真】高速道路の新料金設定について
国交省と意見を交わす竹内氏ら=4/27 衆院第一議員会館

 子ども手当の月額2万6千円は、すでに絶望的だ。これを無理やり実行しようとすれば、日本の財政は破たんする。高速道路無料化も事実上不可能となっている。

 すでに過去のものとなった感があるが、八ッ場ダムの建設中止問題。住民は建設推進を要望しているが、前原大臣は「マニフェストに書いてあるから中止する」としている。両者の話し合いは未だに凍結されている。ダム建設を完全に中止するには、地元住民の合意の他に、東京都など下流域の議会の同意が必要となる。八ッ場ダム問題は、第二の普天間問題とさえ言われているのである。

 日本航空の再建についても、前原大臣の肝入りで政治主導のタスクフォースが結成されたが、結局これもうまくいかず、資産査定を二度も行ったほか、資金繰りもさんざん迷走した揚句、政府主導で会社更生法を適用し倒産した。その後も、約1兆円の公的資金を投入して支えてきたが、会社更生計画の裁判所への提出も、当初より2ヵ月も先送りされるなど、厳しい状態が続いている。民間企業の再建などは、銀行を主体とした民間主導で行うべきもので、これを政治主導で解決しようとしたことが、そもそも間違っていると指摘しておきたい。

つづく


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