民主党政権9ヵ月の総括(1)

突如、鳩山総理と小沢幹事長が辞任することになった。国民からすると当然だが、しかし、参議院選挙対策とすれば、これほど国民を馬鹿にすることはない。鳩山氏は、わずか9ヵ月で政権を放り出した無責任の誹りを免れない。また、これまで民主党は、自民党の総理が1年ももたずに辞任してきたことを、強く非難してきた。同じことを政権交代後の民主党が繰り返しているのである。あきれてものが言えない。

【写真】公明党時局講演会で国政報告を行う竹内氏=5/30 宮津市

 まもなく新総理が誕生するだろうが、国民の負託を受けない首相が、国政を運営することを否定してきたのは民主党だ。新総理は、解散総選挙を断行して、国民に信を問うべきである。

 さて、民主党の支持率急低下の原因が、鳩山総理と小沢幹事長の「政治とカネ」の問題、また、「普天間基地移転問題の失政」だけにあると思っていたら、民主党は再び失敗を繰り返すことになる。

 確かに、これらは重大な問題である。しかし、この9ヶ月間民主党政権と対峙・論争を通じて、私は民主党に対して、いくつかのことを指摘しておきたい。

 民主党議員の理念の仕分けがまず必要だと思う。現在の民主党には、党の綱領がない。綱領とは、政党の根本哲学である。これが無いというのは不可解だ。

 旧自民党から旧社会党、旧民社党、旧日本新党、旧さきがけ、昨年の初当選組、小沢ガールズ、等々。理念の共有が果たして可能なのだろうか。普天間基地移転問題の迷走も、このような思想的背景の違いが遠因にあると、私は診る。

 また、政党としての組織が十分に練り上げられていない。強いリーダーシップとそれを支える内部調整力(根回し力といってもよい)。喧々諤々の議論を経て、最後にはそれをまとめあげる力。決まった以上は潔く従う土壌。人間に対するさまざまな配慮、等々。各議員には専門性も高く、優秀な方も多いが、組織としての力はまた別個のものだ。

 この欠点が如実に現れたのが、いわゆる「高速道路法案」だ。前原大臣は事実上の料金値上げを前提としているために、民主党からは「高速道路無料化のマニフェストに反する」と異論が噴出。付託された国土交通委員会では、全く審議に入れないまま会期末を迎えることになった。

 残念ながら、政権担当能力以前の組織としての問題である。

つづく


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