政治の焦点

政治の焦点

民主党の弱点(1)

民主党は、もともと自民党にいた人や、旧社会党、旧民社党、松下政経塾出身者、元学生運動の活動家など、右から左までその政治理念や政治哲学はバラバラである。これが最大の弱点である。もちろん、社会の様々な階層から議員を擁立することは決して悪いことではない。問題は、その糾合の旗印に共通の政治理念・哲学が無く、ただ自民党に対抗する勢力の集まりに過ぎないことである。自民党も相当幅広い考え方があるが、民主党ほどの違いはない。

 私の衆議院議員時代の体験ではあるが、あの細川連立政権がなぜ10か月で崩壊したのか。また、新進党がわずか数年でつぶれたのは何故か。表面的な理由はともかく、それは結局構成グループの政治理念や哲学がバラバラであったからである。政権を担当した場合には、たびたび予想もしない事件や課題が出てきて、決断を迫られる。その時に哲学や理念が定まっていないと、政権はガタガタする。内紛から政権離脱するグループも出る。

 今の民主党が、口を開けば「政権交代」と言っているのは、そうしないといつまでも野党のままでは、団結する理由が乏しく空中分解するからである。その「政権交代」という言葉を繰り返しているうちに、今や多くの国民が洗脳され始めているのだ。もしも、次回の総選挙で政権交代が実現できなければ、近いうちに崩壊する可能性が高い。

 万一政権を獲得した時でも、民主党のマニフェスト・政策を実現しようとすれば、間違いなく行政の現場や国民生活が大混乱し、景気が再び失速して再び日本経済の危機が到来すると思う。

 「官僚主導体制の打破・地方分権=中央集権体制の廃止」など、公明党としても大枠としては異論が無いテーマではあるが、これを実現するには練りに練られた長期計画と政治パワー、そして何よりも国民の後押しが不可欠である。

 「中央集権体制の廃止」は、明治以来の日本の国の在り方を抜本的に改める「革命」である。歴史の流れはその方向に向かっているとは思うが、それを一政党だけの力でできると思うのは傲慢だ。私は、一旦自公民が大連立を組むこと、さらに、マスコミを含めて国民が最大の応援団にならなければできない程の大テーマであると考える。

 また、経済の発展には政治の安定が不可欠であり、民主党政権のもとで政治・行政が大混乱した場合には、金融経済危機は再び深刻化するだろう。その結果民主党政権は、民主党内での理念・哲学の違いから内紛が起きたり、また連立を組む社民党・国民新党との思想・路線の相違から、崩壊することが容易に予想されるのである。

つづく

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