政治の焦点

政治の焦点

小沢ショックと今後の政局

政治は劇的に変化する。麻生内閣の敵失続きで、何もせずとも政権がひとりでに転がり込んでくるかのような勢いをみせていた民主党に、小沢ショックが冷水を浴びせた。いや、肉離れを起こしたという人もある。他方、自民党サイドにも西松建設からの資金を受け取っている人もいるので、今後の事態の行方は不透明である。しかし、少なくとも多くの国民が、再び政治不信を募らせることになったのではあるまいか。

 国会ではようやく第二次補正予算関連法案が成立し、定額給付金をはじめとする多くの経済対策が実行に移されつつある。地方議会に対して私が申し上げたいことは、これほどの経済危機にもかかわらず、様々な事務上の理由で経済対策が遅れがちになっているということだ。大都市でも神戸市などは三月中の定額給付金の支給が可能というのに、同等の規模の他の政令市では、五月までずれるところもある。市長・議会の危機感の欠如や、役人の抵抗を疑われても仕方がない。迅速に補正予算と関連条例を議決し、実行に移すべきである。

 麻生政権と与党に残された課題は、一刻も早く2009年度予算案と関連法案を成立させることである。民主党も駆け引きばかりに終始せず、国民生活が第一というのなら、年度内の成立に協力すべきである。これで総額75兆円規模の経済対策は一段落する。さらに、追加の補正予算を云々する向きもあるが、必ずしも賛成できない。なぜなら、現時点で補正を作成することは、本予算を否定することにつながるからだ。また、経済情勢の急速な悪化に対しては、野党の協力を得て本予算を修正する方が、迅速であり国民のためになる。

 小沢ショックは、麻生政権を免罪したわけではない。私の全く個人的考えだが、自民党はこれまでの統治能力の不甲斐なさを反省し、一から出直すべきではないか。人心を一新し、新しい体制で乾坤一擲の勝負に打ってでるべきだろう。民主党の敵失に気を緩めて、現在の地位にしがみつこうとしてはいけない。

 公明党はこれまで地道に国民の声を聞いて回ってきたが、国民の望むことは政治のパフォーマンス(中身が乏しいにもかかわらず虚勢を張ること)ではない。無責任な批判に終始しているイデオロギー政党も必要とはしていない。国民が求めるものは、清潔さであり、誠実さであり、明日への希望となる現実性のある政策である。社会を良くしていこうという熱意と確かな指導力である。

つづく

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