政治の焦点

政治の焦点

非常時の経済政策について(2)

本稿の掲載が新年も明けて今頃になってしまったことを申し訳なく思う。年末から年始にかけては誰でも忙しいものだが、私も本年は原稿を書き上げる暇もないほど走り回っていた。

 定額給付金については、野党や勉強不足の一部マスコミから非難の嵐であったが、きちんとした学者や心ある評論家は一定の評価をしているようだ。少なくともテレビで発言する方々は、経済学の基本を一度学習し直してもらいたい。大恐慌以来人類は、様々な経済実験を試み、それらを経済学として理論化してきた。今回の危機は確かに未曽有のものだが、それらの人類の英知はやはり有効である。もしも役に立たないならば、先進諸国のほとんどの人々が、今すでに餓えに苦しみ、住むところもないはずだ。経済理論をもとに、堅実な政策手段を講じているからこそ、何とか生活ができているのである。

 定額給付金も、経済理論に基づき提唱されているもので、その理論的・実践的正当性については、公明党のHPなどをご覧頂きたい。感情的反感や偏見、経済学に関する知識不足、政治的策略による批判が多すぎるので、それらにいちいち反論する気も起らないくらいだ。

 特に民主党は定額給付金を切りはなせと、参議院の審議も拒否するほど反対しておきながら、消費税の論議で自民党が揺さぶれるとみると、すぐに方針転換して審議にも応じ、採決も引き延ばさない気配だ。それほど役に立たない政策なら参議院で徹底抗戦すればよいではないか。バカバカしいの一言に尽きる。

 さて、今回私が提唱したいのは、非常時の雇用対策だ。それは、「国、地方自治体、民間などが出資して農業生産法人を立ち上げ、耕作放棄地の開墾を主な目的として、多くの雇用を生み出す」というものだ。全国の耕作放棄地は38万fという埼玉県と同じくらいの面積に達している。このまま放置すれば、荒れ果てて環境や防災上も由々しき問題となる。

 農業は素人だけではなかなか軌道に乗らない。やはり、最初のうちは国や自治体がバックアップして、人材育成から生産・販売まで面倒を見るのが良い。業績が安定してきた段階で、民間に委ねていけば公費負担も少なく済む。現在新規就農者は毎年8万人程度であり、すでに今回の経済危機から、就農希望者が急増しているとの報道もあるが、既存の農業生産法人だけでは雇用吸収に限界がある。今後うまくいけば数十万人の雇用が生み出せるのではないか。


 国民の多くは外国から輸入される農作物に不安を感じているので、国内向けに相当の需要が期待できるうえ、場合によっては中国など外国へも輸出できるだろう。また、高齢化が進み6割近くが65歳以上という後継者難を救うことにもなる。さらには、現在カロリーベースで39%という食糧自給率の向上にもつながる。そのための大規模な財政支援を国が実行すべきである。今後詳細に検討していきたいと考えている。

つづく

BACKHOME