政治の焦点

政治の焦点

〜定額給付金について

このたびの自公合意により定額給付金について一応の決着が図られた。これに対して、様々な批判が展開されているので、私なりの考え方を述べておきたい。一般的に経済政策には、景気対策と社会政策との二通りあるが、今回の定額給付金は後者の「社会政策としての生活支援」に重点がある。とは言うものの「一定の景気下支え効果」があることも確かだ。

 まず「生活支援」の側面から、18歳以下の子どもと65歳以上の高齢者に金額を上乗せした。所得制限を設けるのが筋ではあるが、今回の不況の深刻さと生活支援にはスピードが必要なことから、事実上所得制限はなくなった。公明党としては所得制限無しの方針であったが、自民党の一部反対もあり、苦肉の策として所得制限は市町村の判断に委ねることになったのだろう。しかし、事務の煩雑さから、実際には所得制限を設ける自治体は皆無に違いない。

 「経済効果がない」との批判があるが、仮に2兆円の半分の1兆円が消費に回ったとしても、約500兆円のGDP比0.2%の効果がある。2008年度の経済成長率は0.1%(日銀)と推計しているので、「一定の景気下支え効果」はあるといえる。現在の貯蓄率は3%程度で、6割近い方が生活は苦しいとの報告もある。現実に支給された場合には相当程度が消費に回るだろう。

 「バラマキではなく、弱者対策など他の社会保障政策に使うべきだ」との批判がある。まず、「バラマキ」とは「目的が曖昧なままお金を配ること」だ。今回の定額給付金は「生活支援」という目的が明確であり、「バラマキ」批判は当たらない。百年に一度ともいわれる経済危機なので、できるだけ多くの国民に給付するようにしたと考えられる。

 また、新しい経済対策では、「介護従事者の処遇改善として月額2万円の給与引き上げ(ボーナス込み)」、「妊婦健診を14回無料化」「年長フリーターを正規雇用した中小企業に3年間で一人当たり100万円支給」などを盛り込んでいる。子育て支援では「3〜5歳の第2子以降に年間36,000円支給」も用意した。ご心配はご無用だ。

 それでも「選挙目当ての買収と同じだ」という人がいる。これに対しては、そういうことを言う人の心根が歪んでいると言いたい。現実の国民生活がいかに疲弊しているか。政治の使命は、国民の痛みを知ってそれに少しでも手を差し伸べることではないのか。

 「消費増税付きの給付だ」との批判もある。しかし、3年間消費税を引き上げないことは決定したが、3年後の消費税引き上げは何も決まってはいない。その時の経済状況、社会保障費の動向、行財政改革の進展度合いなどを勘案しつつ、もう一度再検討するものである。また3年後のことを考えて、現在のわずかな金額の消費行動を決める人はほとんどいないだろう。


 公明党は当初からガソリンの高騰、物価上昇のもと、景気の著しい後退による生活苦を支援する目的で、定額減税や臨時福祉特別給付金を主張していたが、それらの方式では恩恵が及ばない方々が1,000万人以上もおられることが判明した。そのためより迅速に生活支援が可能となる「定額給付金」に切り替えたものである。そういう趣旨なので、自分は生活には困っていないという人や、どうしてもこの政策は気に食わないという方は、定額給付金をお返し頂ければ結構だ。その分は福祉など他の政策に使えるからである。

つづく

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