政治の焦点

政治の焦点

〜民主党に国を委ねる前に

最近のある世論調査によると、次期衆議院選挙の比例代表では民主党に投票すると答えた人が、自民党をやや上回っているという。その理由としては、福田政権がねじれ国会のもとで、指導力を十分発揮できていない印象があることや、最近の景気の減速、原油高騰などから生活不安が増していることなどが考えられる。

 他方で、直近の福田政権の支持率がやや上昇に転じていることも事実だ。福田総理も開き直ったように、公務員制度改革法案を成立させたし、資源エネルギーの確保のためにアフリカの40カ国と精力的に首脳会談を持った。また地球環境サミットでも一定の成果を出したことも事実である。しかし、それでもなお、官僚の無駄遣いや傲慢、怠慢が目に余ることから、行政の抜本改革のためには、一度政権を民主党にやらせてみてはという人が増えているのかもしれない。

 そうするとまず民主党がどういう国づくりをしようとしているのかを検証する必要がある。その集大成はマニフェストだ。ところが、民主党の前代表の前原誠司氏は、月刊誌「中央公論2008.7」で次のように述べている。

 田原総一郎氏
「民主党は昨年の参院選で、農家の所得補償に1兆円、子育て支援に4兆8千億円、最低保障年金に6兆3千億円など、計15兆3千億円を投入すると公約した。これはバラマキじゃないですか。行革で間に合うんですか。」


 前原誠司氏
「正直言って、私は行革で15兆3千億円すべてを賄えるとは思っていません。(これに最近の主張分を加えると)全部で18兆円。18兆円を行革だけで捻出するのは絶対無理ですよね。」 「敢えて言いますが、(中略)当時の政策責任者たちの間では、最後まで15兆3千億円の財源の根拠が希薄であると難色を示したと聞いています。これも小沢さんの『エイヤッ!』だったわけです。」 「(中略)ですから、仮にこのまま民主党が政権を取っても大変です。私は『君子豹変』しないかぎり、まともな政権運営はできないと思いますよ。今、民主党が最もしてはならないのは、国民に対して耳障りのいいことばかり言っておいて、仮に政権を取った時に『やっぱりできません』という事態を招くこと。そして『やはり民主党の言っていたことは夢物語だった』と思われて、すぐに自民党に政権が返ること。これが最悪です。」


 前原氏は正直に、マニフェストで約束した行革はできないことを吐露した。これは、現在の民主党のマニフェストは詐欺的であることを認めたことになる。その理由は、ひとつは金額が非現実的であることと、もうひとつは行革は官僚の激しい抵抗に会うことが予想されるからである。国民は、「自公政権は官僚にうまく操られている。抜本的な行革はできない。だから今度は民主党にやらせてみよう」と思っているかもしれないが、仮に民主党政権になったとして、彼らの支援母体である公務員組合、官公労の大幅人員削減ができるであろうか。また公務員の側も徹底抗戦するだろうし、与野党の対立をうまく利用して行革を骨抜きにしようとする可能性が高い。つまり、行革に関しては民主党政権では絶対できないのである。行革は自公政権に民主党が協力し、政治が世論の後押しを受けて霞ヶ関官僚と闘うことによってしか実現できないことを、国民は正確に認識すべきだろう。

 ところが、報道によれば、前原氏のこの発言に対して、民主党の筒井信隆氏ら3名は反発し、謹慎するよう求める文書をまとめ、党所属の国会議員全員に配布したという。文書は「前原副代表の妄言を糾弾し、『退場』を勧告する」との表題で、「同僚議員や国民に対する重大な背信行為」と叱責。前原氏の代表辞任の原因となった二年前の偽メール問題を指摘しながら、「謹慎蟄居こそ必要」と攻撃している。これこそ内部分裂の兆しではないか。

 政治には国民の切実な思いが託されている。にもかかわらず小沢民主党は詐欺的マニフェストで権力奪取を目論む。しかし、それは民主党の内部分裂へとつながる可能性も高い。本当にこのような民主党に日本を託せるのか。これに対し公明党は、大衆の目線で地道に着実に国民生活のための政策を実行してきた。例えば、テレビドラマでも話題になっている「空飛ぶ救命救急室」とも呼ばれる「ドクターヘリ」の導入、また、「平和協力国家」の立場から「クラスター爆弾」を即時全面禁止する条約案に同意したこと、さらに、薬害肝炎訴訟の全面解決薬害肝炎救済法の成立などである。偏見や先入観なしに公明党の真摯な努力を知って頂きたいと思う。

つづく


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