政治の焦点

政治の焦点(第49話)

〜「道路特定財源」の抜本改革を断行すべきだ。

この問題については既に私の考えを述べてはいるが、政治情勢の変化があったので改めて考え直してみた。最大の情勢変化は、福田総理が一年後からの「道路特定財源の全額一般財源化」と、「暫定税率は今秋の税制改正論議で検討する」、さらに、「道路整備中期計画についても期間5年の新計画を策定する」ことを打ち出した点だ。

 自民党の総理総裁としてはよくここまで言い切ったと評価したい。自民党の道路関係議員達の中には反対する方々も多いだろうが、私はこの総理提案は最低限実行すべきであると考える。具体的には、まず政府の「骨太の方針」に盛り込み、また「閣議決定」をしなければならない。その上で民主党との「修正協議」に望むべきである。

 そのような努力と前進なしに、現政府案を衆議院で再可決し暫定税率をもとに戻そうとしても、公明党としては賛成できないのは当然だ。わが党の斉藤政調会長も4月4日のCS番組で「(2009年度からの一般財源化を『骨太の方針』に盛り込むことについて)実現しなければ現在の自民党と公明党の政権はあり得ない。」とまで述べている。これは一般財源化が失敗すれば、自公連立政権が崩壊する可能性があるとの認識を示したものだ。まったくその通りである。

 宮崎県の東国原知事の言葉を借りるまでもなく、地方経済の厳しい現実を踏まえると、今年は暫定税率は維持せざるを得ないと思う。暫定税率分の大半が地方へ還元されることになっているからだ。ただ、現実にはこれまでの「道路特定財源」の使い道には無駄があったことも事実であり、それらを改めるとともに、国・地方ともに道路の政策優先順位について根本的に考え直すべきであろう。その契機となるのが「一般財源化」である。福祉や高齢者医療、環境、教育にも使えるとなれば、政策の優先順位について慎重に検討せざるを得ない。

 暫定税率という仕組み自体も、この秋の税制改正までに抜本的に見直すべきである。国・地方ともに、新たに5年の道路整備中期計画を作り、それに基づいて新税率を決定するのが筋ではないか。様々な無駄を省き、一般財源化を前提とすれば、税率は現在よりも引き下げることが可能になると思われる。同時に、現在の複雑な自動車関係諸税を整理・縮小することが必要である。もっとも、地球温暖化防止の観点もあるので、単純に税率を引き下げてガソリンをどんどん使って下さいということにはならないであろう。

 福田総理・自民党改革派・公明党の主張は国民の目から見ても正論である。他方、民主党の主張は、「直ちに暫定税率を廃止せよ、本税分は本年度から一般財源化せよ」というものだが、これでは地方の窮状は救えないし混乱をもたらすだけである。それ以上に民主党の姿勢は「与野党合意を目指すというより、自民内の分裂を誘う戦術の色彩が濃い。閣議決定や法案修正の過程でいったん鎮まった一般財源化への反対論が噴出するとの読みだ」(日経新聞4月1日付)と指摘されている。民主党も調子に乗って党利党略が過ぎると、いずれ国民からお灸をすえられることになるだろう。また、自民党道路関係議員にも大局観に立った判断を求めたい。

以 上

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