政治の焦点

危うい民主主義

〜京都市長選挙における日本共産党等のデマ宣伝の分析から

去る2月17日に行われた京都市長選挙は、951票差で門川大作氏が勝利したのだが、自公民・社民の与党側が共産党丸抱えの候補にここまで迫られた原因をよく分析する必要がある。いくつかの原因があるのだが、そのすべてをここで紹介することはできない。私としては、今回は日本共産党などの、度を越したデマ宣伝の分析を通して、民主主義の持つ弱点を指摘しておきたい。

 公職選挙法では、告示後は届け出た機関紙以外では、選挙の報道と評論ができないルールになっているが、門川氏の追い落としを狙う勢力は同氏の個人情報を勝手に記載したペーパーを大量に街で頒布し、演説していたことは多くの市民が現認している。このペーパーの配布量は膨大なもので、京都市民のほとんどが見たことがあるくらいだ。たとえ事実であるとしても、これでは公正なやり方とは言えない。

 次に届け出た機関紙であっても、事実をすり替えたり歪曲して報道してはならないことは当然だ。しかし、日本共産党系の機関紙は、事実を捻じ曲げて悪意に満ちた攻撃を何回も執拗に繰り返し行った。その一例は、私の政談演説会での発言に関する報道である。その機関紙によると「竹内讓・公明党京都府本部副代表は、・・・(門川氏が)特定の宗教団体の理念を公教育の『指針』にしたことを公言しました。」とある。しかし、こちらにはテープも残してあるが、そんな発言は一言もしていない。私が発言したのは教員の研修方法についてであって、それを共産党は全く事実のすり替え・捻じ曲げを行ったのである。また、京都市としても「特定の宗教団体の理念を公教育の『指針』にした」事実などどこにもない。

 私は、2月8日最初に赤旗で報道されたその日に、赤旗本社と日本共産党京都府委員会に対し抗議の電話をしている。普通であれば私や京都市など関係者に事実の確認を行うべきであろう。にもかかわらず何の確認作業もせず、その後も同様のデタラメ記事を赤旗・京都民報で繰り返し報道したうえに、機関紙・ニュース号外などで、恐らく総数で何百万枚も頒布したと推測される。これ程ひどい話はない。

 公職選挙法には「事実を偽り又は歪めて報道、評論するなど表現の自由を濫用して、選挙の公正を害してはならない。」とある。また、「届出機関紙であっても、号外等については、選挙に関する報道・評論を掲載したものを頒布することができない」とされている。明確に法律違反である。権力を握るためには、民主主義憲法で認められた自由を悪用して、法律を犯し他人の人権を侵害して平然としている。恐ろしい政党である。あのスターリンにも勝るとも劣らないと、私は感じた。

 実は以前にも同様のことがあった。かつて私が、日本共産党系の病院の手抜き検査の事実を指摘し演説したところ、あろうことか開き直って私を名誉毀損で告発してきた。しかし、検察は私の発言には全く問題なしとして相手にもしなかったのである。悪の事実を指摘したものが、悪いことをした本人から名誉毀損で訴えられるなどというおかしな世の中はない。(私としては何らかの法的手段も検討している。)

 京都では他府県では考えられないようなデマ宣伝が行われているのである。市民が白けて投票に行かなくなるのも当然であり、またデマを本当のことと思ってしまうこともあるだろう。民主主義の利点を悪用して、人を陥れる、権力を奪取する。心が本当に捻じ曲がっている勢力が厳然とあるものだ。私たちは、このような民主主義の弱点をカバーする対策をもっと真剣に考えなければならない。事実無根の悪評を流した方が勝つなどという社会を絶対に作ってはならないと改めて痛感した選挙であった。

以 上

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