政治の焦点

政治の焦点(第48話)

〜ガソリン税暫定税率問題を考える

ガソリン税には、1974年から暫定税率が導入された。日本の社会基盤である道路網を拡充するために設けられた目的税であるが、第1次オイルショックを踏まえ、ガソリンの消費抑制や環境対策も導入理由のひとつであった。従って、その使い道は原則として道路整備やそれに付随する環境対策に限定される。もしも、もう道路は完備されたのであれば、当然廃止されるべき性質の法律である。また、お金がかなり余るということであれば、大幅に減税されて然るべきである。

 しかし、現在でも地方の道路を中心として建設を待ち望んでいる地域はかなりある。京都でも北部日本海側などは、京都市内との高速道路網が未だにつながっておらず、地域が疲弊している現実がある。学校を卒業しても北部に就職先がない。大学もない。多くの若者が出て行くことになる。北部各地域の根強い要望は工場や大学の誘致である。そのためには、少なくとも高速道路網や鉄道の整備が不可欠である。また、除雪出動やなだれ対策もこのガソリン税などの道路特定財源で賄われている。他方、京都市内や周辺地域はどうか。通学路の歩道整備など安全対策や、開かずの踏み切り解消など渋滞対策は緊急の課題である。

 民主党は何が何でも3月末までにはこの法案を成立させないで、できれば廃案か一時的にもガソリンの25円引下げを実現させる狙いのようだ。しかし、政権交代を図るために、国民生活に重大な影響のある法案を無限に引き伸ばすという戦術もおかしいのではないか。反対なら反対で3月末までに結論を出すことはできるはずである。民主党は党利党略が過ぎる。

 ガソリン税などの道路特定財源は約2兆6千億円だが、そのうち地方には約1兆6千億円が配分されている。もしもこれが維持されなければ地方財源に大きな穴があくので大変なことになる。消費者にとっては値下げは有り難いが、既に予算を組んでいる地方政府はどうすればよいのか。民主党はその財源を明らかにしていない。国でその分赤字国債を発行すれば良いというのだろうか。政権政党をめざすならば、地方の財源不足に対してどのような補填手段があるのか、現実的な対案を提示すべきである。民主党の戦術は子供だましのように見える。

 私はこの問題は地方も関わる大きなテーマであるから、これを3月までに全面解決することは困難であると思う。一旦税率を延長した上で、例えば3年の間に地方も含めて道路計画を見直してはどうか。それで改めて税率を決定すべきものだろう。与党のいう10年間固定するというのは長すぎると思う。無駄な道路計画もあるはずだ。無駄を省き、真に必要なものは作る。そしてできる限り税率が下がるように努力する。これが正論である。

 なお、民主党は道路特定財源をすべて一般財源化するとしているが、道路特定財源は目的税として徴収しているのだから、筋違いの主張だと思う。小泉総理の時に余った部分を一般財源化する道を開いたが、それでも道路建設に伴う環境対策などに使うのが限界だ。むしろ、余った財源分の税率を下げるのが正しい考え方だ。一般財源化するなら一旦現在の法律を廃止して、改めて税率はいくらにするかを国民に示すのが筋である。

以 上

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