政治の焦点

政治の焦点(第47話)

〜大阪府知事選挙・京都市長選挙

昨年の参議院選挙で民主党が大勝して以来、地方の首長選挙でも自公対民主で戦うのが当然というような世論が形成されつつあるが、私は地方自治の本旨に立つならばそれは間違っていると思う。地方自治の本旨とは「住民福祉の向上」であり、そのために一番良い人物を首長として推薦すべきであると考える。すなわち、地方政治は中央政治のコピーである必要は全くなく、人物本位・政策本位で候補者を選択していけば良いのである。

 大阪市長選挙に続いて大阪府知事選挙でも自公対民主の争いとなったが、他方、京都市長選挙では、自公民が結果として同一の候補者を応援することになった。その候補者擁立過程で私が一貫して主張してきたことは、上記の理論に基づいて「地方の首長選挙に中央政治の対立をそのまま持ち込むべきではない。人物さえ良ければ自公民でも一向に構わないし、場合によっては公明・民主対自民の争いとなっても良い」ということであった。このことを財界や労働組合をはじめ市民の皆様に訴えたところ、「全く正論である」と多くの賛同を得た。

 民主党の小沢代表は、地方の首長選挙でも絶対民主党の独自候補を立てなければ許さないと述べておられる。首長を民主党で抑えて国政選挙を有利に運ぼうという目論みである。今回の京都市長選挙では、地元の民主党京都府連は推薦したが、党本部は推薦を出さない方針のようだ。しかし、それは党利党略以外の何者でもない。政党の論理であって、住民の論理ではない。実際に、全国津々浦々、首長を支える地方議会のあり方も実に千差万別である。

 京都市の場合共産党が強いから自公民がまとまったという人もあるが、決してそれだけの理由ではない。候補者の人物が優れていたことが最大の理由である。また、地方自治の本旨に基づいて正論を訴え続けてきた公明党京都府本部の、水面下での並々ならぬ努力があったからである。私は、優れた人物がいればどんどん地方の首長に立候補すれば良いと思う。その際に最も重要なことは、政党推薦の枠組みが、初めから中央政治の対立構図ありきという固定観念は捨て去るべきだということである。もっと柔軟に地方政治を構築していくべきであろう。

以 上

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