政治の焦点

政治の焦点(第45話)

〜小沢騒動・大阪市長選挙を読み解く

かつての新進党時代の小沢代表をよく知る一人として、今回の小沢騒動を分析しその戦略を読み解いてみたい。まず人間小沢一郎。囲碁三段と聞いている。攻めにはめっぽう強い。先ごろ自民党の与謝野 馨前官房長官と囲碁対決し、七段の同氏を負かしたらしい。自民党というのはなかなか憎い心理戦術を用いる。与謝野さんがどの位本気だったかよくわからないが、少なくとも大連立交渉の導入部分になったのは確かだろう。

 大連立の話は、小沢代表は当然仕掛けたがっていた。また、鳩山幹事長、菅代表代行など一部の大幹部は事前に知っており、明確な反対はしなかったので小沢代表としては暗黙の了解を得たと考えた。にもかかわらず、役員会で誰も小沢代表の側に立つことなく反対されて頭にきた。憤懣遣る方なく「プッツン」辞意表明に至る。だから、鳩山、菅の両氏がひたすら慰留に努めたのだろう。もちろんそれは、小沢代表が相当数を引き連れて出ていけば、民主党は瓦解するからでもある。なお、今回の騒動を小沢代表の自作自演ではないかという見方もあるが、そうは思わない。これは失策である。

 小沢代表は政界を代表する大政治家だ。それが如何なる理由があろうとも、「プッツン」は頂けない。辞意表明は熟慮を重ねて決断を下すのが当然であろう。もはや若い門前の小僧ではないのだ。「恥を晒して」辞意撤回など見苦しい。かつての小沢代表を知る私は、辞意撤回など決してしないと思っていた。国民の多くはこれで天下を任せようという気になるだろうか。安倍前総理にも失望したが、それを批判してきた小沢代表までがこのようなことではいけない。魔は天界に住むという。他山の石としたい。他方、民主党も情けない。小沢代表に代わって自分が代表になるという人物がいないのか。

 しかしながら、小沢代表の戦略は壮大とみる。まず、自民党と大連立を組む。その際には公明党を連立から切り離す。国民に政権担当能力があると思わせるいくつかの実績を残し、その上で、民主党の一部を切り捨てる。あるいは民主党が分裂せざるをえないような政策を実行する。小沢代表は多くの保守系民主党議員を連れて、自民党と合併し新自民党を創設する。いわば自民党に凱旋帰国するようなものだ。

つづく。

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