政治の焦点

政治の焦点(第43話)

〜2007年参議院選挙の結果から何を学ぶか

 

当初目標の 13 議席 ( 選挙区 5 、比例区 8) に対して、結果は選挙区 2 、比例区 7 の 9 議席に留まったため、公明党としては敗北を率直に認めざるをえない。ただし、これ程の逆風にもかかわらず党員・支持者、特に創価学会の皆様の献身的な支援のおかげでよく踏ん張ったと言える。落選したとはいえ、愛知・神奈川・埼玉の 3 選挙区は大幅に得票を増加しているし、比例区でも 777 万票は野党時代の最高得票数である 1998 年の 775 万票をわずかながらも上回った。

 公明党の最大の敗因は、「有権者の目に自民党と公明党が『運命共同体』と映ったこと」、「『自民党のやっていることは、おかしいな』ということが、同時に『公明もおかしいぞ』という印象になってしまった」 ( 岩見隆夫  07/8/20 付 公明新聞 ) ことだろう。安倍総理の政権運営や政策の優先順位、国会戦術などの誤りを十分に修正できなかった点において、公明党は与党として結果責任を負わなければならない。それは単にテレビ討論などで「公明党はもっと独自色をだすべきだった」というような表面的なレベルの問題ではない。

 与党の敗北の本質的な原因は、すでに多くの識者が指摘しているように、「小泉構造改革の負の遺産」にあることは間違いない。すなわち、一度は熱狂的に礼賛した構造改革だが、それによってもたらされた地方や農村の疲弊、高齢者や障害者など社会的弱者の負担の増大、正規雇用と非正規雇用など様々な格差の拡大が底流としてあった。そこへ、年金記録問題、政治とカネ、閣僚の相次ぐ失言などがくすぶっていた不満に火をつけたのである。公明党はこれらの負の遺産を解消すべく懸命に尽力してきたが、残念ながら力が及ばなかった。

 公明党としては、今一度立党の原点「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」に立ち返り、徹底した現場第一主義で「ひとりの人を大切にする政治」を貫いていかなければならない。平和の党、社会的弱者をはじめとする生活者の党、清潔な党として、更なる進化を遂げなければならない。もちろん、 830 兆円以上の巨額の政府債務に鑑みれば、構造改革は継続する必要はある。とは言え、「人間のための構造改革」なのだから、年金改革、雇用格差・長時間労働の是正、地方や農村の救済、障害者政策、政治資金規正法改正など、たとえ自民党が反対でも公明党の主張が明確な筋の通った法案を提出していくべきである。国民のためには、公明党はこれまで以上に自民党に対してはっきりものを言い、行動していかなければならないと決意している。

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