政治の焦点

政治の焦点(第38話)

日本共産党の政策の根本的矛盾について(その2)

国政・地方を問わず最近の選挙においては、マニフェスト ( 政策綱領 ) の存在とその中身が問われることが必須となっている。ところが、国でも地方でもマニフェストをもたない唯一の政党が日本共産党である。首をかしげざるをえないのだが、理由を推測すると、ひとつは、与党として責任ある立場で自分達の政策を実現していこうという意欲が全く無く、永久に野党として与党を批判するだけの無責任で気楽な立場でいたいということなのか。あるいは、もうひとつの理由として考えられることは、与党になった途端にこれまでの主張を反故にしてしまおうということなのか。東京都狛江市の共産党市長のように。

 さて、平成19年度の地方各県の予算では、全国的に「子どもの医療費助成制度」が拡充される方向にある。ところが、ほとんどの県でそれを日本共産党が実現、もしくは、日本共産党の運動を通じて住民の願いが届いたかのような大宣伝がなされている。

 これに対して、「それはおかしい。デマ宣伝だ。」「実績横取りではないか」との批判が沸き起こっている。理由は簡単だ。何故、今年度の予算で全国的に「子どもの医療費助成制度」が拡充されたのかを考えてみればすぐわかる。それは、昨年度の「医療保険制度改革関連法案」の成立によって、 2008 年度から「子どもの窓口負担軽減が拡大」され、それに伴いこれまで単独で助成を行っていた地方の負担が軽減されることになったからである。多くの地方では、その軽減分を前倒しで助成の拡充に回したのである。

 ところが、この国の「医療制度改革関連法案」を「国民いじめ」の悪法と決めつけ、きっぱりと反対したのは他ならぬ日本共産党であった。しかも、この制度を担保する予算にも当然反対している。これではたして日本共産党の実績と言えるだろうか。国の動きを地方の住民が知らないと思って愚弄するのも甚だしい。

 政策を実現したと言うためには、少なくともいくつかの条件を満たしていなければならない。私はその中でも特に、「国の法案成立に際し、当初から政府与党と緊密に連携協力し賛成したこと」、「地方では条例成立に際し、知事・市長および与党と緊密に連携協力し賛成したこと」が重要だと考えている。その他にも議会質問や、予算に賛成したこと、請願署名活動などの要素もあるが、これらは全体として政策実現にどれだけの貢献があったかの視点から総合的に判断されなければならない。そうでないと、成立を見越して、質問をしたり請願署名活動をするだけのパフォーマンスはいくらでもできるからである。また、単純に法案や条例、また予算に賛成したというだけでは公約を実現したとは言えないことも当然である。

 私は、日本共産党が単に予算に反対したからという理由だけで「実績ゼロ」と言っているのではない。日本共産党の重大な欠陥は、余りにも独善的な主張に固執するために、政府与党や地方の首長・与党との緊密な連携協力が全く存在しないことである。政策は、議会に過半数の議席を持たない限り、日本共産党単独で成立することはない。現状では、与党や首長にしっかりと説明し協力を仰がなければ何も実現しないのは当然だ。それを欠いたまま、日本共産党を通じて国民の声が届いたということはあり得ない。

 公明党は野党の時代であっても、「教科書無償配布の実現」など自民党との緊密な連携協力のもといくつかの政策を実現してきた。それは政府や与党自民党との粘り強い交渉・様々な協力関係など、日本共産党などには計り知れない、並々ならぬ努力があったがあったからこそ可能となったのである。日本共産党のように、イデオロギーのプリズムを通してしか現実を見ない政治手法では、すべてが歪んで見えるが故に、他党の協力が得られないのである。

つづく。

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