政治の焦点

政治の焦点(第37話)

日本共産党の政策の根本的矛盾について

日本共産党の主張は大要次のようなものである。すなわち、「庶民には負担増。大企業には減税。大増税、逆立ち税制。とんでもない!こうした悪政をすすめているのが、自民・公明党。『くらし破壊』に命をかけてたたかいます。」と述べている。この日本共産党の主張に反論し、彼らのデマ宣伝のからくりを暴いてみたい。

 東京都の西の地域にある狛江市は、1996年に共産党員の矢野裕氏が市長に初当選。以来、10年以上も市政を牛耳ってきた共産党王国として有名だ。ところが、本年2月27日号の「週刊エコノミスト」の特集記事「首都圏(一都三県)財政ゆとりランキング」で、狛江市は不名誉にも「ワースト1位」にランキングされたのである。

 狛江市の財政事情は、この10年で悪化の一途をたどり、共産党市長誕生時に55億円あった基金(市の貯金)が5億円まで激減。市債残高(市の借金)は6億円増えて245億円に達した。見るも無残な「財政ボロボロ」の原因は、はっきりしている。歳出に占める人件費の割合が高すぎ、行財政改革への取組みが著しく遅れているからだ。歳出に占める人件費の割合は周辺の多摩26市が21%なのに対して、狛江市は24%(2005年度)。26市平均に比べ、職員数は78人多く、毎月の給料は50歳時点では2万円以上も高い(いずれも2004年現在)。行革ができない共産党を象徴的に示している。

 しかもそのツケは、負担増と住民サービスの低下となって市民に襲いかかった。2002年度から、保育園の保育料、国民健康保険、税金、下水道料金が相次ぎ値上げ。2005年には「ごみ有料化」、2006年には公民館など「公共施設の有料化」と続いた。さらに、財政難を理由に、お年寄りの通所入浴サービスが縮小され、花火大会までが中止となってしまったのである。

 これが共産党市長の政治の実態なのである。共産党は国政を「庶民に負担増のオンパレード。異常な福祉切捨て」と批判する。しかしその常套句が、そのまま狛江市の共産市政に当てはまるのである。与党に対する批判がそのまま共産党へ跳ね返ってしまうのだ。それとも、自民党・公明党が行えば悪政で、同じことを共産党がやれば善政となるとでもいうのだろうか。

 京都でも共産党は「国民健康保険料の引下げや、家庭ごみの有料化の中止」などを公約しているが、狛江市では「国民健康保険を値上げ」しても、また「ごみ有料化」に踏み切っても、共産党が行うものは善政として許されるが、京都市のように他党が与党として行うものは「くらし破壊」の悪政というのは何故であろうか。これ程の根本的矛盾はない。

 結局日本共産党は、与党批判と党勢拡大のために、独善的でその場しのぎの屁理屈で国民の目を誤魔化し、国民の不満や怒りを煽り立てているに過ぎないのだ。国民を馬鹿にするのも程がある。騙されてはならない。日本共産党こそが政治不信を増大させている張本人だと言われても仕方がないだろう。

 国民は負担増を絶対駄目だと言っているのではない。世界一の少子高齢社会が到来しているのだから、どうしても一定の負担を高齢者にもお願いしなければ、医療や介護の制度が維持できないことをきちんと説明することが大切なのだ。サービスは十分にしかし負担はゼロにせよというのは不可能である。サービスを充実するためには、一定限度の負担が必要であることを正直に訴えることこそ誠実な態度であり、このことが政治不信を拭う王道であると確信する。

つづく。

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