政治の焦点

政治の焦点(第27話)

扇動(デマゴギー)政治と永田メール騒動

私は、2月1日付の「私の政治哲学(第9回)〜小泉政治の功罪と公明党の役割」の中で、小泉総理の罪として「この選挙は『扇動(デマゴギー)政治』という実に危険な風潮を生み出してしまった」「今後野党民主党を含めて・・・『扇動政治』を助長する恐れがある」と予想した。まさにその直後に永田メール騒動が勃発した。その結末は周知のとおりで、民主党のドタバタ劇に加えて、情報提供者の証人喚問という前代未聞の珍事まで行われようとしている。今回の「永田メール騒動」は実はこの「扇動(デマゴギー)政治」の風潮に悪乗りしようとして自ら墓穴を掘った例であると言えないだろうか。

昨年の郵政選挙は、その本質は自民党内の激しい権力闘争(小泉Vs橋本派等)そのものであり、それを国民のための郵政民営化という美名にすり替えたに過ぎなかった。もしも小泉総理が、法案が参議院で否決された段階であきらめていたならば、総理の求心力は一気に低下し退陣は早まったであろう。小泉総理は想定どおり解散に踏み切り、かねてより準備しておいた刺客を立ててマスコミや国民を驚かせ、巧みな世論操作によって大勝利を遂げた。恐るべき「扇動選挙」であったと評することができよう。なお、公明党は当初よりこの解散には反対であったが、総理が伝家の宝刀を抜いてしまった以上戦わざるを得ず、大局的には郵政民営化は進めるしかないと判断した。

他方、小泉総理に完膚泣きまでにしてやられた民主党は、無意識的に「扇動(デマゴギー)政治」を自分達も活用したいと考えていたのだろう。今年に入ってライブドア問題、耐震強度偽装事件、BSE問題など野党にとって追い風が吹き始めたのを幸として調子に乗ってしまった。永田メール騒動は、「小泉扇動政治の二番煎じ」を仕掛けようとした民主党が、功を焦って「謀略的なデマ」に引っ掛かり自滅した事件と言えるであろう。

日経新聞(3月20日付)のコラム「核心」を紹介したい。「だました人物より、それをもとに国会で追及したほうが何倍も罪が重い。政治や政治家の周辺には陰謀がうごめいている。それを見抜けないようでは議員バッジをつけている資格がない。その永田議員よりももっと罪が重いのが民主党そのものだ。民主党は国民に対して取り返しのつかないほど大きな罪を犯した。」また、「選挙において国民の期待を背にして政権奪取を目指しているという政治家としての自覚が足りない。中学校で悪さをした生徒が先生や意地悪した相手のところに謝りにいくという構図と何ら変わらない。民主党の政治そのものがクラブ活動や生徒会を連想してしまうほど幼く見えてしまうのだ。」と述べている

公明党は、気分や流行で政治を行おうとする自民党や民主党にブレーキを掛け、また、常に独善的決め付けの宣伝で国民の不満・不安を掻き立て、与党批判を繰り返して支持を集めようとする共産党の扇動(デマゴギー)的政治手法に対して、断固その誤りを正し言うべきことは言っていかねばならない。

我々は今回の永田メール騒動を他山の石として、また反面教師として戒めなければならないと思う。地方議員を中心に、これからも庶民・弱者の痛みを知って、地味だが、黙々と、逃げることなく、世の為人の為尽くしていかなければならない。地道な労苦なくしてマスコミ受けを狙い、パフォーマンスばかりに走ってはいけない。民衆に根を生やし生活者の視点から、地に足の着いた常識、歴史の英知に基づいて間違いのない聡明な判断をしていくのが公明党の役割であると考える。

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