京都論

「京都改革プロジェクトチーム」が記者会見
〜「京都高速道路未着工の3路線の凍結・中止」と「人権同和問題の今後」について


私、竹内 讓が座長を務める公明党京都府本部の「京都改革プロジェクトチーム」は、掲題の2件について提言をとりまとめ、去る1月9日に記者会見を行いました。また、次期市長選挙に立候補する門川大作氏の政策綱領に反映されるよう要望致しました。

「京都高速道路未着工の3路線の凍結・中止」提言(要旨)

京都高速道路未着工の3路線とは、堀川線、西大路線、久世橋線のことであり、総工費3250億円と試算されている。この3路線の事業実施に関し、以下の観点から提言する。

■課題
  1. 事業費の増大及び事業期間について精査が必要
     現在示されている事業費は、平成16年以前に算出された概算事業費であり、事業化に当っては事業費及び事業期間について、さらに精査する必要がある。
  2. 人口減少・高齢化時代での将来予測が不透明
     1999年を基準とした将来の交通需要予測は、人口減少・高齢化などによるライフスタイルの変化(歩いて楽しい街づくりなど)のため見直しが迫られており、再度将来交通量を予測する必要がある。そのため事業の費用対効果も改めて検証しなくてはならない。
  3. 環境問題の深刻化及び新しい景観問題の登場
     京都市は「京都議定書」の締約都市として、温室効果ガス削減を一層推進しなければならない責務を負っており、車両の流入を阻止しなければならない立場にある。また、京都市全体の新しい景観問題(京都市南部の景観が変貌)との整合性の問題が生じてきた。
  4. 膨大な財政負担
     3路線の事業方式にもよるが、道路公団民営化の影響を考慮すると、油小路線、新十条通よりも大幅な市の負担増加となることは間違いない。京都市はすでに膨大な債務を抱えており、今後バブル期に策定された計画をそのまま実行することは、市の財政基盤を崩壊させる可能性が高い。都市経営の観点からは、限られた財源の中で事業の「選択と集中」を進めることが必要不可欠である。
■改革提言

これまで、公明党京都府府本部並びに公明党京都市会議員団は、阪神高速8号京都線の早期完成を促進する立場であり、新十条通、油小路線、斜め久世線については、市内への通過交通量を減らす狙いもあり、一日も早い完成、共用開始を望むものである。 しかし、市内高速道路の未着工3路線については、計画当時想定しえなかった環境問題の深刻化や新しい景観問題の登場、人口減少・高齢化の時代でのライフスタイルの変化などにより、根本的に再考することが求められている。また、事業費及び事業期間について改めて精査する必要があることに加え、膨大な債務負担を抱える都市経営の視点で検証した結果、財政上も事業の遂行は困難と思量される。従って、この3路線についての建設促進に向けた取り組みについては、凍結もしくは中止が相当と考えるものである。


「人権同和問題の今後」についての提言(要旨)

現在、京都市をはじめとする公務員の不祥事問題の底流には、長年の同和問題があることは明らかである。とりわけ京都市の同和行政は、現在一般施策へ移行した事業と、すでに廃止した事業に分類されているが、一部未だ継続している事業が残っており、同和行政完全終結には未だ至っているとは言い難い。 その中でも、最高裁において違法判決が下された京都市における「自立促進援助金支給制度」を改革することが、緊急かつ最重要であるとの結論に至った。 今日までの同和行政がともすれば、政争の具として、常に「対決の構図」から脱却できず、解決への方途を「開かれた対話」の中で合意形成をつくる環境づくりが欠如していたことを指摘したい。 そこで私たちは、同和行政完全終結に向けては、今後いかに市民の目線に立って、公平公正で開かれた議論の中で広く人権問題とし改革を断行できるかが最重要課題であるとの認識に立ち、意識の共有化を図るための場の設定が急務であると考え「人権同和問題の今後」として下記の事項を提言するものである。

■改革提言
  1. 「同和行政完全終結に向けた市民会議(仮称)」の設置
     市長のリーダーシップのもとに、学識者・市民等による公平公正で開かれた会議体として「同和行政完全終結に向けた市民会議(仮称)」を設置し、今後の同和問題の各種課題を広く市民参加で議論し、同和問題の解決に向けた各種取り組みを推進すべきである。
  2. 「京都市自立促進援助金支給制度」見直しの方策
     京都市においても今後平成40年まで約40億円もの税金を投入することや、同和特別扱いと揶揄される実態を踏まえると、現状の制度をそのまま存続することは到底市民に理解を得られない。そこで、上記提言の「市民会議」においても、支給要綱の改正にとどまらず条例化の是非や第三者評価委員会の設置等、抜本的な制度の見直しを検討し、市民合意のもとで早急に結論を出すべきである。

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