【2012/4/14公明新聞】AIJ年金消失問題 浅川社長ら証人喚問

AIJの浅川社長に尋問を行う竹内氏=13日

【写真】AIJの浅川社長に尋問を行う竹内氏=13日

 衆院財務金融委員会は13日、AIJ投資顧問による巨額の年金資産消失問題について、同社の浅川和彦社長らに対する証人喚問を行った。公明党から竹内譲、富田茂之両氏が尋問に立った。

 竹内氏はAIJの虚偽の運用実績額が巨額に上る実態に触れ、「未曽有の巨額詐欺事件であることは明らか」と指摘。その上で「顧客にウソの運用報告を見せて金を集めていたことは事実。だます意図があったことは間違いない」と強調した。

 浅川社長は「お金をだまし取って自分の利益を取るとかはまったくない」と強弁した。

 また、竹内氏は浅川社長らが投資の勧誘時に虚偽の説明をしていたことを裏付ける記録を提示し、真意をただしたが、浅川社長は「いつの説明か分からない」と明言を避けた。

 このほか、竹内氏はAIJが受託した資産を金融当局の監視の目が届きにくい英領ケイマン諸島のファンドで運用していた実態を踏まえ、「何かを隠すためであったと思われても仕方ない」と主張。

 さらに、浅川社長とともに出席を求められていたが、体調不良を理由に欠席した高橋成子取締役の関与が大きい可能性に触れ、高橋取締役の証人喚問を再度求めた。

 一方、AIJと連携して営業していたアイティーエム証券の西村秀昭社長に対する証人喚問で竹内氏は、同証券がAIJのファンドから多額の資金援助を受けていた実態を明らかにした。

 その上で、AIJが援助分の資金を補うため、「(年金基金から資金を)受託してもうけて(ファンドに)返したいという思惑があったのではないか」と指摘するとともに、西村社長に対し「(浅川社長の不正行為を)分かっていて、口封じのため、お金をもらっていたのでは」とただした。

 富田氏はAIJと密接な関係にあった旧社会保険庁OBの石山勲氏に対して尋問。石山氏がAIJと顧問契約を結ぶ一方、年金基金にAIJを紹介していた問題を追及した。

 【浅川社長の発言要旨】
浅川和彦AIJ投資顧問社長が13日の衆院財務金融委員会の証人喚問で行った発言の要旨は次の通り。

 虚偽行為を認識したのは年金資産が入ってきてからだ。損した状況で顧客に返してはならないと思った。運用はうまくいくと思った。取り戻す自信もあった。

 アイティーエム証券には、虚偽であることは伝えていない。(顧客に)水増しした数字を伝えたことは認識していた。(運用報告書は)偽造といえば偽造。「水増しした」と認識している。本当に反省している。ただ、すべて水増ししたという認識はない。

 転売は2009年4月から増えた。(金融当局から)アイティーエム証券に検査が、AIJにはヒアリングがあったからだ。ヒアリングで運用の実態がないのではないかと聞かれた。運用報告書を見せるよう求められたが、作ってなかったので「ない」と答えた。

 転売のつもりはなく、結果として転売スキームになった。ファンド間の資産のやりとりはできない仕組みだ。運用資産が減ったから新規顧客の募集に向かったわけでない。顧客資産をだまし取って自分の利益を上げることはさらさら考えなかった。わたし個人にお金が入る仕組みはない。詐欺のつもりは全くない。

 11年3月期の収入は7980万円。高橋成子取締役は取締役といっても名ばかりで雑務をやっただけ。







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