【7.9公明新聞記事】二重ローン救済へ 自公が法案提出

法案を提出する竹内氏ら=8日 国会内

【写真】法案を提出する竹内氏ら=8日 国会内

 民主、自民、公明3党は8日、参院議員会館で、東日本大震災の被災者が住宅や工場の再建のため、新たな借金を抱える「二重ローン」対策について実務者協議を行った。公明党から大口善徳・党二重ローン問題・リース契約問題検討プロジェクトチーム座長(衆院議員)、竹内譲事務局長(衆院議員)らが出席した。

 金融機関の事業者向け債権を買い取る新機構をめぐり、民主党と自公両党の主張の隔たりが埋まらず、協議は決裂。これを受け、自公両党は同日午後、新機構を設立するための新法「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案」(議員立法)を参院に提出した。

 法案では、新機構が債権(リース債権含む)の買い取りのほか、出資や融資、助言などもワンストップ(1カ所)で行うとした。支援を受けるには、事業再生計画(おおよその事業の見通しで可能)の提出のほか、債権者(金融機関など)が融資を行うことが条件。

 協議の席上、民主党側は、独立行政法人・中小企業基盤整備機構が8割を出資する新機構を被災各県に設置する案を説明。新たな法律の制定を伴わない既存の仕組みで対応する方針を示し、「早ければ8月にも機構をつくりたい」と述べた。

 公明党側は、既存制度の活用より「法律を3党で協議して成立させた方がスピード感もあるし、使い勝手のいいものになる」と主張。また、被災事業者の既往債務を考慮すると、債権の買い取りなどに「2兆円程度は必要」との考えを示した。

 法案提出後、記者団に対し大口氏は、民主党案について「既存の、実績の上がっていない中小企業再生ファンドを少し変えただけ」と批判。また、支援を申し込む前の事前相談から支援完了までをワンストップにする必要性を訴えた上で、「民主党案だと、中小企業再生支援協議会で相談し、(その後、支援の申し込みに)機構に行く」と、使い勝手が悪い点を指摘した。

 3党協議では、債務整理を簡易にする個人向け私的整理ガイドラインや、災害弔慰金などの差し押さえを禁止する議員立法に関しても議論。公明党側は「被災者生活再建支援金と災害弔慰金だけでなく、義援金についても差し押さえ禁止の対象にすべき」と訴えた。

 今後、新機構をめぐる協議は国会論戦に移り、3党協議では住宅ローンの負担軽減策などが議題となる。




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