臨時国会を終えて

臨時国会が始まる前の鳩山内閣の支持率は75%もあった。しかし、国会が閉幕した時には59%にまで下っていた。事業仕分けの「政治ショー」がなければもっと下っていたに違いない。臨時国会では、「党首討論(クエスチョンタイム)」も「政治とカネの集中審議」も行われず、鳩山総理が逃げ回ったという印象だ。

 「政治とカネ」の問題は、総理の母からの巨額偽装献金だけではなく、小沢幹事長や青木 愛衆議院議員に関する献金疑惑も報道された。また、現在の最大の問題は、「普天間基地移設の迷走」である。沖縄県の多くの方々が民主党にだまされたと怒っているし、米国も「日本は一体どうなっているのだ」と我慢の限界に近づいている。日米同盟が危うい。

 経済問題は深刻である。「円高・デフレ対策」はほとんど無策である。この年末にはボーナスも出ない。あるいは失業したという方がたも多い。私は、前政権の補正予算が「無駄・不要の極み」であるというのなら、一刻も早く「賢い支出」なる第二次補正予算を策定して、臨時国会に提出すべきであると質問した。しかし、何もしなかったのである。第二次補正予算案の審議は年明けであり、それが執行される頃には春を迎えてしまう。こんなのんびりした仕事ぶりでは、到底国民生活を守ることなどできない。

 さらに、本会議でも質問したが、民主党には未来の経済成長戦略がないのである。子ども手当など所得の再分配ばかりを主張している。社会主義政権の特徴だ。これでは将来の展望に欠け、企業などが需要を創出する意欲が湧いてこない。根本的なデフレ対策がないのである。経済センスが悪い。

 以前にも指摘したが、「天下りの復活」などはまったく言語道断だ。選挙前には「天下り根絶」をあれだけ叫んでいたのだから。あの朝日新聞でさえ、「看板に偽りあり」と厳しく抗議している。同様に、民主党が政権を取ったならば、「赤字国債は絶対に出しません。無駄を省いて財源をねん出します。」と約束していたのに、各省の概算要求を抑えられず、目標としていた国債発行額44兆円の上限に関して、早々に白旗をあげた模様である。

 なお、私は国会初日に、政府に対して、「新型インフルエンザ対策について」、「中央省庁のタクシーチケット使用の問題点について」、「CO2削減施策の矛盾について」、「自殺予防対策について」、「エコポイント制度の景気・環境に対する効果について」の5問の質問主意書(詳細は後日)を提出した。

 麻生自民党政権を激しく批判して政権交代した民主党だが、政権の座についてみると、どうもうまくいかないようだ。しかも、小さな社民党や国民新党に振り回されている。臨時国会は逃げ切れても、通常国会は逃げ切れない。鳩山政権は果たしていつまでもつか。私が、13年振りに国会でみたこの政権与党の印象は、やはりパフォーマンス政党であるということだ。本気で国民の苦しみがわかっていない。

 一方で、二大政党制ではなく、独裁政権化が進行しているように思う。中国への630人もの大派遣団。国家主席に140人の国会議員と握手させるなど、失礼極まりないし異常だ。また、日本の国会議員を自ら軽んずるものでもある。その代わりに中国側から、次期国家主席候補の習近平氏と天皇陛下とのルール破りの会談を要求され、飲まされてしまった。これは天皇の政治利用である。民主党の都合で象徴天皇が軽く扱われてよいものなのか。まったくおかしい。私は、明年の参院選挙で民主党が過半数を獲得すれば、それは恐ろしいことになると痛感した次第である。通常国会が勝負である。

つづく

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