臨時国会の論戦から

臨時国会での論戦で、国民が最もがっかりしたのは、日本郵政の新社長に大蔵省OBの斉藤氏を起用したことだろう。あれほど公務員の「天下り根絶」を主張していた民主党が、あっさりと国民新党の亀井大臣の人選を受け入れたことに、驚きの声が絶えない。亀井大臣が激しく反論すればするほど、国民は「何かおかしいな」と直感している。日銀総裁人事の時は、大蔵省OBは絶対受け入れなかったのだから。

 先の総選挙で大勝したのは、実は民主党の他に「みんなの党」がある。何と300万票以上を獲得しているのだ。民主党と「みんなの党」が大勝した大きな理由は、「自民党がだらしなかったこと」と「官僚の天下り廃止など官僚制度の傲慢ぶりを正して欲しい」との民意があったからだ。ところが、この国会では「天下り根絶」「公務員制度改革」など総理の所信表明にはあったが、政府・与党では全く何の動きもない。「脱官僚」どころか、逆にじわじわと官僚に押し返されつつある。こういう体たらくでは、「天下り問題」は公明党が主導するしかないと決意している。

 民主党は、衆議院の代表質問を行わなかった。「議院内閣制は政府・与党一体である」との小沢幹事長の変な理屈であるが、しかし、三権分立があっての議院内閣制である。与党になれば、国権の最高機関としての権能である「代表質問」も放棄するのであろうか。そこを公明党などから突かれて、しぶしぶ予算委員会だけはほんの少し質問をした。小沢指導によれば、「一年生議員は国会活動よりも選挙に専念せよ」とのことだが、国会で質問もしない国会議員などただの採決要員ではないか。もちろん、国会が開かれていない時は地元活動に精を出すべきである。しかし、これでは何のために国民から選出されたかわからない。

 行政刷新会議のもとに「事業仕分けチーム」が発足した。ところが、そのメンバーに、一年生議員が多数含まれていたことを知った小沢幹事長が激怒し、突如一年生議員がはずされ、平野官房長官や仙谷行政刷新相などが小沢幹事長に誤ったという。民主党の最大の権力は小沢幹事長であることをまざまざと見せつけられた事件だ。

 あるテレビ局が国会内で、「この問題についてどう思うか」について、民主党議員達に「おかしいのではないか」という視点から質問をしていた。たまたま報道が私を民主党議員と間違えて同じ質問をしたので、私は「一年生こそ新鮮な目ですべての事業を選別できるのではないか。人物・能力本位であるべきだ。チームが一旦発足してから、小沢さんの一声でひっくり返るのはおかしい。これでは『戦後行政の大掃除』を掲げた鳩山内閣のスローガンは、偽りの看板ということになる。」との趣旨を返答した。このような珍事もあった。

 なお、私は国会初日に、政府に対して、「新型インフルエンザ対策について」、「中央省庁のタクシーチケット使用の問題点について」、「CO2削減施策の矛盾について」、「自殺予防対策について」、「エコポイント制度の景気・環境に対する効果について」の5問の質問主意書(詳細は後日)を提出した。

つづく

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