いよいよ臨時国会始まる

待ちに待った臨時国会が10月26日からようやく始まる。新政権の基本方針を論議する大事な臨時国会が、ここまで引き延ばされてきたことに、まず強く抗議する。世論調査では、鳩山政権は今のところ高い支持を得ているようだが、約二カ月間の政権運営をみていると、様々な問題点が浮かび上がってきた。これからの論戦では厳しい批判にさらされることになるだろう。

 まず前政権の補正予算の執行停止で、約3兆円の無駄を省いたとしているが、景気動向には甚大な影響を及ぼすだろう。私の地元京都では、中小企業(製造業)の売上は対前年比約60%程度である。前政権のセーフティネット保証のおかげで一時資金繰りは息を継いだが、ここへきて大企業からの受注が伸びず、先行きに不安が広がっている。3兆円もの景気対策が停止されれば、倒産・失業が続出することは間違いない。特に、建設・土木業界が心配である。

 「コンクリートから人への投資」と民主党の幹部は叫んでいるが、これほど建設・土木業界の方々を愚弄する言葉はない。まさに「切り捨てる」表現である。小泉総理の時代から公共事業は毎年3%ずつ削減され、往時と比べればすでに相当の圧縮がなされている。それをこの不況期に1兆円も停止すれば、大変な事態を迎えることになるだろう。町の中小建設業者を回っていれば容易に予測できる。

 また、マニフェスト至上主義の概算要求総額は、95兆円を超えると報道されている。税収見込みは40兆円を切るかもしれない。その結果、新規国債の発行額は初めて50兆円を超える見通しだという。国債発行額が税収を上回るのは、54年振りだ。前政権に対し、借金大国の責任を追及し、無駄を省いて財源を作ると豪語していた民主党が、いざ政権を握ると膨大な赤字国債を発行するという。これほどいいかげんなことはない。公務員人件費2割削減はどうなったのか。労働組合に支えられた政権は、やはり公務員人件費の削減には踏み込めないのか。財源を生み出すというマニフェストも守ってもらわなければ困る。

 「子ども手当」と「児童手当」は本質的にどう違うのか。岡田外相はこれまで「児童手当」に反対してきた理由として、金額が少ないからと述べた。しかし、26千円の「子ども手当」よりも36千円の「子育て応援手当」の方が金額は多い。ならば、なぜ「子育て応援手当」を止めるのか。朝日新聞10.15によれば、仙石行政刷新相は「公明党がやったものだから止めればいい」と述べたという。これでは道理にならない。無駄の基準がデタラメであることが明白になった。また差別的発言以外の何物でもない。公明党の実績はすべて悪なのか。仙石氏は弁護士でもある。これが事実とすれば人権感覚を疑わざるを得ない。

つづく

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